60年代ストーンズの公式リリックビデオが楽しい

これまで当ブログにはあまり書いてこなかったローリング・ストーンズだけど、チャーリー・ワッツの訃報があってから自分の中で彼らの存在が再び大きくなってきて、ストーンズの音楽に触れることも増えた。そんな流れで、ストーンズの60年代楽曲の公式リリックビデオ(歌詞を見ながら曲が楽しめるビデオ)が大量に公開されているのを最近見つけて、色々と見ては楽しんでいる。60年代ストーンズの音源を管理しているABKCOが自社のYoutubeチャンネルに載せているもので、プレイリストを見ると、107曲ものリリックビデオが存在する。当ブログでも、3年前に載せたかなり初期の記事で「Street Fighting Man」のリリックビデオを紹介したことがあった。先日チャーリーとジミー・ミラーについて書いた記事に貼った「She’s A Rainbow」もそうで、「サタニック・マジェスティーズ」のアートワークをベースに、国籍・人種問わず古代から現代(1967年頃まで)の女性の美しさを極彩色で称える内容になっていて、とてもいい。


いかにも65~66年っぽいグラフィックがめまぐるしく展開される「19回目の神経衰弱」の映像も、ちょっと目が回る感じだけど好き。

歌詞のテーマに沿った映像のほかに、収録アルバムのアートワークで遊んでいるようなものも多くて、こちらも自分はかなり好き。「Dandelion」のリリックビデオは、「Flowers」のジャケデザインそのままのロゴで歌詞が出てくる。とても可愛くて楽しい。

曲が始まってから7分間も歌詞が出てこない「Sing This All Together」にまで、ちゃんとリリックビデオが作られている。こうなるともう、リリックビデオというよりイメージ映像である(ちなみに全編インストの「南ミシガン通り2120」にも格好良いビデオが作られている)。

サイケデリックというよりは汎アジア的なほんわかとした不思議感があって、こういうものの既存のイメージからすると結構攻めている印象を受ける。サイケといっても、もはや紫色の煙をもくもくさせるような時代ではないということかもしれない。リアルタイムのファンが見てどう思うかはわからないけど、これも自分は好き。ストーンズ流サイケの音楽そのものから浮かんでくるイメージとは、とてもよくマッチしていると思う。この一連のリリックビデオ、どれを見ても「あ、これ好き」「ああ、これも好き」となってしまう。ほかに繰り返し観てしまうのが「悪魔を憐れむ歌」と「無情の世界」。どちらも、アルバムジャケをあらゆる角度からアップで写したり、コラージュしたりしながら、すき間にアートワークの一部のように歌詞を挟んでくるという映像。


自分がレコードをかけるときも、音楽を聴きながら表ジャケ、裏ジャケ、見開き、ライナーノーツ、果ては内袋のレコード会社の広告まで、ひたすらためつすがめつしながら楽しむ。そういう感覚が味わえる映像だし、「Say it!」だの「Oooooh baby」だのと、合間に挟まれるかけ声までいちいち出てくるのが自分には嬉しい。歌詞カードだったらまず省かれそうな部分だけど、こういう細かいところ、非常に大事である。

ただ、細かいところまで書き起こされているわりに、歌詞の内容に間違いも散見されることがネットで指摘されていて、確認してみたらたしかに間違っている箇所があった。「Sittin’ On A Fence」の「Really is too horrifying」が「Really is so hard a find」になっているし、「Gimme Shelter」の「Burns like a red coal carpet」の「coal」が「coat」になっている。どちらも公式らしからぬ、かなり致命的な誤りなので、できれば修正してほしい。ABKCOといえば、特にビートルズファンにとってはきわめて悪名高いアレン・クラインの会社で、このビデオのシリーズについても「どうせ金儲けのためだろ」という意見を見かけた。自分に言わせれば、営利企業なのだから、そんなのは言わずもがなのこと。60年代ストーンズの楽曲が手元にあれば、もちろんあの手この手でお金は儲けたいだろう。問題はどうやって儲けるかである。このリリックビデオのシリーズに関しては、ストーンズの音楽への愛情を感じるので、自分は全般的にとても好感を持っている。近ごろは夜な夜なリリックビデオを見ては、60年代ストーンズ、やっぱり大好きだなあと再認識している。

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