消えかかったバンクシー作品?を漁港の岸壁で見た

今年の夏はとにかくしんどい。山に近い寒冷地から海に近い田園地帯に引っ越してきて、久しぶりに経験する湿った暑さで身体的にもしんどいけど、自宅にこもって仕事をする以外にあまりやれることがないのが気持ち的にとてもつらい。先月までは、息子の学校が夏休みの間に、コロナ禍の夏でもそれなりに楽しいことをしようと考えていた。一番楽しみにしていたのは、春まで暮らしていた土地に観光客として戻って、久しぶりに山や湖を見たりすること。当時行きつけだった最高に素晴らしいスーパーで色々と買いたいものもあったし、涼しい山で爽やかな空気が吸いたかった。

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去年の8月に行った、標高1900mの楽園

今月初めにまた緊急事態宣言が出たけど、宣言されるまでもなく、現在暮らしている市でも8月に入って感染者数が日に日に増加していて、ここは市外との行き来があまりない田舎だから平気、などとはとても言えないレベルになった。しかも患者の大半が入院できず自宅療養中という事態がこの市でもすでに現実に起きている。一方、春まで暮らしていた土地では、感染拡大時に観光や帰省で他県から来た人々に神経を尖らせていたのを、自分は肌で知っている。今までで最大の感染爆発局面にあって、他県人となってしまった自分が他県ナンバーをぶら下げて今あの土地に行くことはとてもできない。しょんぼりした気分で、蒸し暑いだけの夏を過ごしている。近隣のショッピングモールにすら足が向かない。昔からの友達と美術館に行くという話もあったけど、それも向こうから今はやめとこうとなった。せっかく海に近いのに海水浴場も全部閉鎖。山にも海にも都会にも行けず、この夏は自宅近辺をうろうろする以外に本当にやることがなくなってしまった。今の願いは、感染状況がせめて先月のレベルに戻ってくれ、世の中が少しでも落ち着いてくれ、とそれだけである。こういう状況の捉え方も人によってかなり違うのだろう。コロナ禍の切迫度が高まっていくにつれて、人々の分断がどんどん深まっていくのも本当に見るに堪えない。そして、医療崩壊のせいで平常時なら救えた命が次々と失われていくニュースを見るたびに、ガリガリと心が削れていく。もうニュースなんか見たくないのだけど、現状を把握しないわけにもいかない。

……と、今の時代を生きている人々なら誰もが見飽きたような、誰も読みたくない話をつらつらと書いてしまってから、つまらないので没にしてしまおうと思ったけど、昨日はちょっと自宅近辺から脱出することができたので、それを書くことにする。今春から中学校に上がった息子は、クラスでも部活でも友達がたくさんできて、楽しくやっているようだ。息子が楽しそうなのは、こちらに引っ越してきて良かったのだと思える貴重な希望の一つ。部活は美術部をやっていて、夏休みもちょくちょく学校に行って活動している。その美術部の友達から、ここからそんなに遠くない場所にバンクシーが描いた絵がある、という話を息子が聞いてきた。なんと、あのバンクシーが近所に?その友達はもう3回も見に行ったという。アートには疎い自分だけど、バンクシーについてはさすがに有名だから少しは聞き及んでいる。何年か前、東京湾などにそれらしき絵が描かれ、バンクシーの仕業か?と騒ぎになったことも、ニュースで知っていた。そのバンクシーが、自宅から車で1時間弱の漁港にある岸壁にも絵を描いていたのだという。そんなことだったとは知らなかった。よし、それなら実際に見に行ってみよう。その場所は息子がネットで調べてくれて、自分はあえて事前に情報を何も仕入れないまま、息子の案内で行ってみた。

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ネット情報のおかげで無事にその海辺にたどり着くことはできた。でもその岸壁に描かれた作品、もうすっかり消えかかっていて、バンクシーだか何なんだかよくわからない。

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そもそも、ほんとにわざわざこんな辺鄙な漁港まで来たのだろうか。帰った後で一応調べてみると、ここもバンクシー騒ぎがあった当時にニュースで取り上げられて、それなりに話題になったようだけど、なかなか怪しい感じでもある。まあこの際、真贋などはどうでもいいこと。とにかく、この絵のおかげで久しぶりに自宅の近辺から脱け出て、夕暮れの海辺で少し遊ぶことができたのだ。岸壁の近くでは生きのいい小さな魚がたくさん、ぴんぴんと飛び跳ねていた。この夏、どこかに行きたかったけど、どこに行けばいいのか、本当にわからなかった。消えかかった絵のおかげで、こうやって海に行けたのは良かった。きっかけが必要だった。憂鬱な日常から脱出するきっかけを作ってくれてありがとう、バンクシーなのか誰なのかわからないアーティスト。

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