ブライアン・ジョーンズのスライドギター

ビートルズに最高潮に熱を上げていた中学生の頃、ビートルズや同時代の英国バンドがBBCに残したスタジオライブを2週間ぐらいにわたって大量にオンエアする番組がNHK-FMで放送されて、もちろんビートルズ目当てで毎日ラジカセにかじりつき、数本のテープに録音した。そこでストーンズ、キンクス、フーといった60年代英国ロックと出会うことになって、音楽の世界が少しずつビートルズからその周辺に広がっていった。後年、当時の演奏がそれぞれのバンドの「BBCライブ」アルバムとして徐々に公式CD化されていき、中学生の頃にあのラジカセで録音した演奏と再会できたのである。

ストーンズのBBCライブ、ビートルズと並ぶ大本命なのになかなかCD化されず、やっと去年になって「On Air」として公式に出た。まだCDは買ってないんだけどSpotifyで聴ける。こうやってライブ音源を聴くと、キースとブライアン、両ギタリストの役割分担があらためて気になってきて、色々調べたくなる。ブライアンがスライドギターの名手だったことはよく知られているし、「Little Red Rooster」とか聴けばよくわかる。マリンバやシタール、サックスなど色々な楽器をこなして多彩な才能を持っていたことも知ってるけど、それがストーンズの音楽的本質とどう関係があるのか自分にはいまひとつ見えづらくて、ブライアンって結局何だったんだろう、と長年の謎だった。BBCライブを聴いていると、やはりブライアン、非常に特異な個性を持ったギタリスト。「Satisfaction」ではキースのあのファズギターの後ろでひたすらフォークロックみたいにアコギのローコードを淡々と弾いている。ビル・ワイマンのベースとはまた別の方向で、ブライアンのギターもかたくなに我が道を行っていて、面白い。正規のスタジオ録音と違って音がスカスカなので、65年当時のアレンジが相当変なバランスで成り立っているのがかえってよくわかる。

さっき聴いてて再認識したのが「I Wanna Be Your Man」のスライドギターの凄まじさだった。音色は歪ませずに、スライドバーをネックに押し付けて弦がフレットに当たる摩擦音を混ぜながらノイジーに弾くのがブライアン奏法だと思っていたけど、「I Wanna Be Your Man」のスライドはそれと違って、電気的にギンギンに歪ませた凶暴なサウンド。このギターほんとにブライアン?とライブ映像で確認してしまったがやはりそう。スマートにかっ飛ばすビートルズ版と方向性が全然違う、ストーンズ版のゴリゴリと荒々しい印象はブライアンのギターがすべてだった(ビル・ワイマンのベースも凄いけど)。この両バージョン、自分にはどちらも甲乙付けがたい。


当初はストーンズのリーダーだったが徐々に「第三の男」ポジションになっていったブライアン。第三の男といえば、のジョージともやはり仲が良かったらしく、ジョージ宅を頻繁に訪れてジョージのシタールを弾いたりしていたそうだ。第三の男、シタール、そしてスライドギター。考えてみるとジョージよりずっと前からスライドの名手として鳴らしていたブライアン、その演奏を近くで見ていただろうジョージが影響を受けていないはずはないのである。直接的にスタイルの近さは感じられないのだけど、隠れた影響は絶対あるに違いない。アドリブよりもきちっと作曲したフレーズを弾くところも共通している。全ジ連ギター弾きとしても、ブライアンのギターはもっともっと掘り下げたい。

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