Coco Reilly「Coco Reilly」

アルバムレビューでジョージ・ハリスンの名前が引き合いに出されていて、ほう、どこがどういう風にジョージなんだい、と聴いてみる気になったのが、この12月にデビューアルバムを出したばかりだというココ・ライリー。まず聴いたのは、本作を紹介した萩原健太氏のブログに貼られていた「The Truth Will Always Find a Way」。


ジョージ云々以前に、これははまる。ざらざらと粒子の粗い爆裂感のある音で埋め尽くされた、引きずるようなスローテンポの曲。コード進行は確かにジョージのようでもあり、ホワイトアルバム以降のジョン的でもあり、そして曲の終盤に登場するのはものすごく効果的なフレーズのスライドギター。これは間違いなくジョージだ。しかし、このギターの音もぼわーっと歪んでいるし、つぶやき気味のヴォーカルもかなり加工されていて、何重ものゴーストを従えてユニゾンで合唱しているような尋常ならざる雰囲気。ローファイ的でもあるけど、このデビューアルバムの制作には試行錯誤を重ねて4年もかかったらしく、低予算・ローテクゆえに成り行き上こうなったのとは話が違うようだ。フィル・スペクターとは違ったやり方で周到に構築された、現代版のノイジーな音の壁という印象。

「Oh Oh My My」で聴けるギターも、スライドではないけど、やはりホワイトアルバムあたりのジョージっぽさを感じる。まだ、どのパートを誰が演奏しているといった情報があまりなくて、このギターを弾いているのがココ・ライリー本人なのか、制作メンバーなのか正確には分からないのだけど、いずれにしてもかなりいい。ベースもアルバム全編でいい味を出していて、ボン・ボン・ボンという感じの朴訥とした演奏なのだけど、サイケなくすんだ雰囲気作りにかなり貢献している。このベースにも自分はそこはかとなくクラウス・フォアマンを感じてしまった。

スライドギターは半数近くの曲で聴けて、「Define You」では爽やかな多重録音ハーモニーの一番わかりやすいジョージスライドが登場。この曲にしてもエンディングでは逆回転ギターが現れて混沌とした展開になる。アルバム全体がダウナーなスローモーションの霞がかった空気に覆われ、終始ゆったりとカオスの底に沈み込んでいくのが心地よい。本作は今のところCDでは出ていなくて配信のみなのだが、そばに置いておきたいのでBandcampでダウンロード購入もした。このとんでもない年も暮れを迎えて、ヨレヨレにくたびれ切った心の深いところに寄り添ってくれる音楽。

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