水曜の朝、午前3時にブルーにこんがらがっていた

今回の米国出張は、出発前から心身ともに疲れ切った状態で臨んでしまい、飛行機では妙に目が冴えてしまってまったく眠れず。ホテルに落ち着いて米国時間の夜に寝付くことはできたが午前2時前に目覚めてしまって、それから朝までほとんど寝られなかった。到着翌日からさっそく勤務開始。長時間不眠のまま仕事に行かなければならず、初日は案の定つまらないヘマをやらかして怒られたりしてなかなか地獄であった。翌日から徐々に調子を取り戻し、仕事量も予定より大幅に減ったのでどうにか納得のいく仕事をやり遂げて帰れたけど、仕事量が多かったら今回は危うく詰むところだった。反省するところが多い。

仕事が減ったおかげで、休日なしの予定だったのが一日休めたのも助かった。それでもサンフランシスコはおろか、最近は出張のたびに訪れるお気に入りの古レコード屋、ラスプーチンにも行く気力が出ず、ホテルから徒歩圏の散歩にとどめた。今回はもうレコードを買って帰るのは諦めていたが、勤務最終日もただ出勤しただけでほとんど仕事はなく、昼には解放。そこからバス一本でラスプーチンに行けることもわかり、よし、ここだ!とばかり出撃。

IMG_20190329_151822 (2).jpg

いくら安いからって10枚以上とか重いからやめような、と思いつつ50セント叩き売り箱もきっちりと漁り、6枚を厳選。S&Gの「水曜の朝、午前3時」のレコードはいつかぜひほしいと思っていたが、50セントで手に入ってしまった。たぶんS&Gのアルバムでは結局これが一番好きなのだ。とくに「霧のブリーカー街」は、これまで自分が知っている中で世界一美しい音楽。何千回聴いても、シンプルなのに複雑な、屹立した美しさにため息が出てしまう。これが毎晩のアナログタイムに聴くレコードの仲間に加わったのは本当に嬉しい。50セント箱で見つけたときはこの3月の苦しさが報われた気分がした。

さらに、ブルーにこんがらがった3月を締めくくるのにふさわしく、ディランの「血の轍」も買えた。50セントとはいかなかったけど、これも手に入れることができてとても嬉しい。アナログで聴くとやはりアコースティックギターの音色がとても良くて、「ブルーにこんがらがって」は低音弦のびびる音が目の前に立ち現れて非常に気持ちいい。なんで古いレコードから出てくるギターの音色がこんなに気持ちよく聞こえるのか自分にもよくわからない。そしてやはりこの曲は歌詞の内容を正しく把握して聴いた方がずっといい(今まで何を聴いてたんだ)。自伝的内容だというのだが、7番まである歌詞のうち、6番だけ年代も登場人物も違う世界に飛んでいて、先日まで読んでいた「Chronicles」にたくさん出てくる、デビュー前のディランがニューヨークのカフェで歌っていた頃の情景が思い浮かぶ。あの本を読んだ後でこの曲を聴いていると、過去も現在も順不同に目の前に並べながら歌われる物語の世界が、ぐっとリアルに思い浮かべやすくなる。

今にして思えば、米国到着後、眠れず苦しんでいたのはちょうど3月20日水曜の朝だった。水曜の朝、午前3時にブルーにこんがらがっていたのである。ラスプーチンの50セント叩き売り箱で「水曜の朝、午前3時」のレコードを拾い上げたとき、そんなことは思いもよらず。こうして何でもかんでも音楽とつながってしまう。心の重しになっていた米国出張も終えて、しんどかった3月はもうすぐ終わりだ。

20181021_151336 (2).jpg
心の友、ラスプーチン

タイトルとURLをコピーしました