ニリンソウとヘビイチゴの花の下で眠る

先月、お庭に老猫様を埋葬させてもらった親族宅に少し寄る用があった。ついでに庭で老猫様のお墓参りをした。埋葬の後、お墓を訪れるのは初めて。深さ6フィートの穴は掘れなかったが、動物に荒らされたり虫がたかったりすることもなく、猫の顔の形に置いた墓石もどきもそのまま。庭には白いニリンソウと黄色いヘビイチゴの花がたくさん咲き、綺麗な様子だった。あらためて、亡くなった時期がとても良かったと思った。寒い冬だったら冷たい土の中に埋めるのは可哀想だし、そもそも凍った土が固すぎて掘れなかったかもしれない。夏だったら暑くて穴掘りは大変だし、蚊にたくさん刺されただろう。春のとてもいい時期に、いいお墓が作れた。

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このサンシュユの木の根元に穴を掘った

親族宅にも年老いた猫がいる。20年前の4月、自分が都内で拾った。路上に落ちていたその生き物はあまりに小さくて、最初はネズミかと思った。生まれた直後に育児放棄をされたらしい。母猫の姿は見当たらず、所用を済ませて同じ場所に戻ってもそのままだったので、仕方なく保護した。夜通し温めたりスポイトでミルクを飲ませたりしてしばらく頑張って世話した後、親族宅に引き取ってもらい、あっという間に20年が過ぎたのである。親に捨てられた境遇のためか元々の性格か、とても気の強い猫で、若い頃は触ろうとしただけでカーッと怒られて「命の恩人」のはずの自分をまったく寄せ付けなかったが、年を取って性格が丸くなり、ようやっとなでさせてもらえるようになった。

その猫がおばあさんになった姿、ぱさついてきた毛並みや少し眠そうな目つきなどが、うちの老猫様とよく似ていた。一ヶ月ちょっとぶりにお墓を見たときは埋葬の日のことを思い出した。一緒に暮らした自宅には、いて当たり前だった彼女がいないという「不在」があるのだが、ニリンソウとヘビイチゴの花の下で彼女が眠っている場所では「存在」を感じた。庭の植物たちを眺めながら、日が暮れるまでずっとその「存在」と一緒にいたかった。また別のお宅を訪ねる予定があり、ほどなく立ち去った。そのうちまた会えるさ。

お庭に咲いていた花たち。季節が変わり、年が変わるごとに様子が変わる。

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