スウィート・リトル・トラブルメーカー

アメリカ出張から帰国してもうすぐ一ヶ月だが体調がなかなか万全にならない。ちょっとストレスがあるとすぐに動悸がして疲れてしまう。こんなときは小さくて可愛いトラ模様の生き物でさえも、ストレスの原因になって動悸を悪化させる。この子猫自身に何も問題はない。すくすく元気に、元気すぎるぐらいに急成長している。梅雨の頃、タチアオイ咲く踏切のそばでかかりつけの獣医さんに行き会ったのがきっかけで、とんとん拍子にあおいちゃんがうちの子になった。あれから3カ月半ほど経ち、先日はその獣医さんにあおいちゃんをはじめて連れて行って、予防接種をしてもらった。そのときに体重を量ったら、もう在りし日の老猫様を軽く超えていた。すばらしい運動能力で家中を矢のように疾走し、床に転がっているものは何でも遊び道具にしてしばきまくり囓りまくり、先住の若猫には燃えるガッツで敢然と飛びかかり、執拗なまでに戦いを挑む。毎日、本気の猫レスリングが観戦できる。雄の先住猫、体格や腕力ではあおいちゃんよりまだまだずっと上のはずだが、気力ではすでに負けている。先住猫、威厳のあるおっかない老猫様の次はこんな火の玉ガールと同居生活、さぞかし気苦労の連続だと思う。天国の老猫様に、ちょっと俺じゃどうにも言うこと聞かないから、ひとつあの小娘にビシッと言ってやってくださいよ、毎日困ってるんですよ、とぼやいているに違いない。

まあ上記まではいいとして、本当に困っているのはトイレのこと。猫砂が正しいトイレ場所であることはとっくに覚えてくれているのだが、なぜか結構な頻度で布団やじゅうたんにやられてしまう。フローリングの部屋に敷いていた古いじゅうたんは取り払った。トイレは頭数より1つ多く3つ用意して、こまめに綺麗にしている。考えつく対策はすべて取り、ずぼらな生活も少しは改めたのだが、それでもトラブルは続く。どうしたらいいのかわからない。先日は、すでにやられていた布団を午前中に洗濯して、午後に干し、夜に敷いているとき、ちょっとしたスキを突いて別の布団にびしゃーっと。……もうダメだ。ちょっと今回ばかりは限界を感じた。ひどいストレスだし、大きな布団を洗う手間も時間もお金もまったくばかにならない。かといって、もちろん家から放り出すわけにもいかない。くっきりしたトラ模様の美しい猫である。トラブルは俺のミドルネーム、という歌詞をどこかで聴いたことがあるが、きっとトラ猫とはトラブルメーカー猫の略なのだろう。

ソファーの上で丸くなって寝ているあおいちゃんは、底抜けに可愛い。だから何をされてもすべて許す。あおいちゃんは屈託というものがまったくなくて、知らない人間が家に来てもまったく恐れず、真っ直ぐに心を開く。大変なトラブルメーカーだが愛さずにはいられない。これまで一緒に暮らしてきた4匹の猫は、それぞれ性格が全然違う。猫にも、ほかの生き物にもそれぞれの魂があって、人間のものとまったく同じだと自分は信じている。人間と同じく、それぞれの個性がある。それにしても、もちろん若さもあるとして、こんなに疾走感あふれる激しい魂をもつ猫と暮らすのははじめてである。この魂に、少なくとも布団はトイレではない、と知ってもらうにはどうすればいいのか。布団はトイレではない、絶対に。

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芙蓉もタチアオイも同じアオイ科の美しい花。あおいちゃんも器量よし猫。散歩コースの急坂を登り切ったところに、秋になると芙蓉とコスモスが同時に咲き乱れる小さな花畑がある。毎年秋、ちょっとした山登りを終えて息を切らせていると目の前に出現する、色とりどりの天国みたいな花の風景を見るのがとても好きである。この写真は先週撮った。

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