海のものとも山のものともつかない

当ブログに初めて載せた記事は「ひとりぼっちのあいつ」というタイトルで手短に書いたものだった。これはビートルズの「Nowhere Man」の邦題だけど、歌詞の意味を汲めば「ひとりぼっち」というよりは「海のものとも山のものともつかない人間」という感じだろう。これといった根っこ、ルーツを持たず、確固たる信念も持たず、どこに行きたいのかも分からない奴。君も僕もあいつと似たようなものじゃないかね、というのが「Nowhere Man」の内容。

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行きたくてもなかなか行かれなかった新天地の見学にとうとう出かけて、先日帰ってきた。現地に実際に身を置いてみて、この土地でも楽しくやれそうかな、と思うことはできた。Googleマップでストリートビューをいくら見ても、やはり実際の空気感はその場に行かなければ全然つかめないものだと思った。落ち着いて暮らせそうな感触は得られて、少し安心した。物件を6つ見て、一番良かった物件の申し込みをした。その答えを待っているところだけど、にわかに不安になってきた。これまで、経済的理由で賃貸契約を断られたことはないし、近年は物件情報で「堅いお勤めの方限定」なんて文言もとんと見かけなくなった。でも、今は何がどうなるか分からないご時世。自分みたいに勤務先に「自宅」としか書けない人物はまさに、海のものとも山のものともつかない。ここで断られたら、遠方まで2泊で出かけて頑張った物件探しが振り出しに戻ってしまう。ちょっとそれはしんどい。何をするにも先行き不透明、本当にストレスフルな時代だ。

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以前暮らしていたムンバイは、海に囲まれた小さな半島に1000万人以上がやかましくひしめき合う街だった。帰国したら一転、山に囲まれた静かな街で暮らしている。海に出るには車で3時間近くかかる。そして今度はまた、海の近くに行こうとしている。山のものなのか、海のものなのか、どっちつかずの生活。本当は分かっている。海でも山でもどちらでもないのだ。ルーツを持たない人間は、どこに落ち着くでもなくあちこちふらふらするばかり。今回は、次に行く先を決めるのにずいぶん長いこと悩み続けている。海でも山でもいいから、一番いい行き先が早く決まって、そこでの新しい暮らしを立ち上げることに集中したい。

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