旧居と完全に手が切れて、新居の紫陽花が咲くのを気長に待つ

先月の日記で自分が不気味がっていた旧居の修繕費の請求。引っ越しから2カ月が過ぎた今週になってとうとう、自宅の郵便受けに請求書が届き、震える手で開封したのち、即座に請求額を大家さんの口座に振り込んだ。これで引っ越し関連の支払いはやっと全部済んだ、はず。旧居とも完全に手が切れたことになる。金額は、事前の見積りで覚悟していた額から大幅に増えることはなく、とりあえず納得のいく幕切れとなった。退去時のハウスクリーニング費用をあんなに取られるとは思わなかったけど、相場を調べればどこもそんなものらしく、黙って払うほかなかった。お別れから2カ月経ったけど、大家さんが請求を忘れるはずは絶対にないし、取られる金額はきっちり取られる。世間のほとんどの人々は、きっちり折り目正しくお金を請求したりされたりしながら生きている。その周辺で待ち構えているさまざまな業者は、訴えられない程度に容赦なく、微妙に納得できない名目でお金を搾取していく。

これまでの寒冷地と違って、真夏にエアコンなしで暮らすのは無理だろうから、新居にエアコンを新設しなければならず、大家さんに請求額を振り込んだ翌日に近所の電器店に買いに行った。なるべく大きな支払いは先延ばしにしたかったのだが、夏が近づくとエアコン工事の予約が取れなくなるというので少し焦ってもいた。すでに暑さが本格化し始めた今週、どうにかギリギリのタイミングで滑り込めたようで、来週早々に設置される。これで大きな出費はとりあえず一段落だろう。どうやら破産は免れたようだけど、今度は各種税金の支払いが待っている。まったく心を削られるばかりのマテリアル・ワールドである。


いいように搾取されてカラカラに干からびた自分を潤してくれるのは植物。搾取された分を誰かほかの人から搾取して取り返すなんて、そんな虚しいことには荷担したくないけど、マテリアル・ワールドに生きている以上、こんな構造に取り込まれるのは大なり小なり避けられないこと。植物と自分の関係はこの真逆だ。無償の愛情をたっぷり与えれば、きっちりと喜びを返してくれる。それ以上でもそれ以下でもない。だから自宅の庭をいじっていれば心の平穏を取り戻すことができる。新居の庭にもかなり手を加えて、ほとんどの部分を掘り返して整地し、木の切り株をいくつか掘り出すことができた。水平に張られた木の根を取り除くと自由に耕作できる面積が大きく広がるので、頑張って切り株を掘り出せた瞬間はとても嬉しく、達成感に包まれる。

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先住の方々が残していった植物は、申し訳ないけどだいぶ整理させてもらった。それでも、しっかり根を張った紫陽花が庭の奥の方で盛大に生い茂っている。紫陽花のある家で暮らすのは初めてで、花が咲くのを楽しみにしていたけど、どういうわけかまったく咲く気配がない。調べてみると、紫陽花は2年越しで咲くもので、前年にできた花芽を維持しておかなければならないという。そこかしこで見かける紫陽花、シーズンが終わって花や葉が枯れても翌年までそのまま放置のものが多いけど、そういうわけだったのか。4月の入居時点では、庭の紫陽花は根元だけ残して丸刈りにされていて、緑の新芽が出てくるまで存在に気付かなかったほどだった。昨年の花芽は全部ばっさり切られてしまったのだろう。どうしてそんなことをしたのかわからないけど、不動産管理会社さん、ずいぶん無粋なことをなさる。この不動産屋とも入居直後は頻繁にやり取りをせねばならず、それもかなりストレスだったけど、新天地で2カ月経って修繕関係のあれこれも落ち着いた。

元大家さんからさっそく来た入金確認のメッセージには、旧居は売りに出して、すでに買い手が何人か付いていると書かれていた。6年近く過ごした、大好きだったあの家は、もうすぐ見知らぬ他人のものになるのだ。オール・シングス・マスト・パスである。もう諸々のつまらないことは忘れて、来年の庭で咲くはずの紫陽花を気長に待とう。丸刈りにされても力強く青々と茂った紫陽花、来年は何色の花が咲くのか、楽しみ。

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散歩道の山中で今朝咲いていた紫陽花。野生の植物はスケール感が全然違う。

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