Emitt Rhodes

エミット・ローズが亡くなってしまったというニュースを見た。70歳、睡眠中に亡くなったとのことだ。とても寂しい。Emitt Rhodes Dead at 70 (Pitchfork)


90年代後半に有線放送で流れてきた「With My Face On The Floor」を初めて聴いたとき、このものすごくいい曲、誰なんだ、と演奏者を調べたのがエミット・ローズとの出会いだった。その頃にちょうど出ていた、70年代ソロ作の大半を集めたベスト盤「Daisy-fresh from Hawthrone, California」を買って聴きまくった。20代半ばから今に至るまで20年以上、日常的に一番よく聴いてきた音楽のひとつが、このCDに入っている曲群である。やはり同時期に出会って今も聴き続けている、エリオット・スミスの音楽への影響もかなり感じる。このベスト盤も、ほかの70年代ソロ作も、悲しいことにCDの形では現在どれもが入手困難になっているようだけど、配信では1969~1973年に残した曲が普通に聴ける。本当に、どれも名曲ばかり。

レコード会社との契約関係のトラブルなどで70年代半ばには自身の音楽活動から引退してしまい、存命なのは知っていたけど新作が出ることは全然期待していなかった。それが2010年代に入ってぽつぽつと新曲を出し始め、2016年にはついにフルアルバム「Rainbow Ends」発表。アルバムを出すのは実に43年ぶりだったという。これも心から素晴らしいと何千回でも叫びたくなる作品で、リアルタイムでエミットの新たな名作と出会えたのは本当に嬉しかった。Chris Priceというパワーポップ界の若手ミュージシャンが、エミットの自宅をアポなしで訪れたのが始まりだったという。今回、エミットの訃報を明らかにしたのも彼だった。Chris Priceのプロデュースのもと、ジェリーフィッシュのロジャー・マニングとジェイソン・フォークナーがバックバンドに加わり、ジョン・ブライオン、エイミー・マン、スザンナ・ホフスほか多数のゲストが支えて、40年以上もアルバムを出していなかったとは思えない現役感あふれるパワーポップに仕上がった「Rainbow Ends」、いつか必ず当ブログでも熱く紹介したいと思っていたが、ぐずぐずしている間にエミットは亡くなってしまった。生前に書けなくて、とても残念だ。(2022年7月後記:2年目の命日を控え、改めて本作を熱く紹介した記事を書いたので、ぜひお読みください:Emitt Rhodes「Rainbow Ends」


この「Rainbow Ends」のジャケット写真にぼんやり映るエミットの笑い泣きみたいな表情を見るたびに、こうやって若手に助けてもらって40年ぶりに作品が出せて僕はとても嬉しいけど、あまりにも遅すぎたなあ、という複雑な気持ちを表した顔に思える。当時は60代半ばだったはずだけど、ずいぶん年老いて見える。でも、いくら遅すぎても、この作品が世界に残されて本当に良かった。今、普通の値段でAmazonで注文できるエミットのCDはこれだけである。このアルバムのタイトル曲で「いつも虹の端を追いかけている」と歌っていたエミット、今はその「虹の端」にたどり着けたのだろうか。まだ70歳、寂しいけど、お疲れさまでした。本当にありがとう。

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