「Endless Arcade」までの長い道のりと、レイモンド

もう配信では聴ける状態になっているティーンエイジ・ファンクラブの新作「Endless Arcade」、本日4月30日がリリース日である。まさしく文字どおり、待望の新作。一昨年の2月、ジェリーが脱退してから初めての来日公演を見届けたとき、この新生TFCは絶対に素晴らしいアルバムを作り上げてくれるはずだと確信して、それ以来ずっと待っていた。ここまで誰かの新作を待望したのは、自分にとってはニルヴァーナの「In Utero」以来かもしれない。全世界的なコロナ禍でリリースが延び延びになるという、想像だにしなかった展開もあって必要以上に待たされた末、すでに12曲中5曲は先行公開されて聴いてしまったし、こうなると何だかもう、「Endless Arcade」に自分はどんな風に接したらいいのか、よくわからなくなってきた。いや別に、音楽なんだから普通に聴けばいいだけなんだけど、とりあえずCDが届くまでは配信で先に聴かないでおく。

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上の画像はAmazonの商品ページで見られるCDのパッケージ。当ブログに何度も書いている通り、集中して聴きたい音楽は、落ち着いて音楽が聴ける時間にパソコンの電源を落として、パッケージを手に取って眺めながらじっくり聴きたいのだ。今日の時点では、Amazonの輸入盤は英米ともに「一時的に在庫切れ; 入荷時期は未定」となっている。何と、在庫切れとは!(国内盤は今のところ注文可能)このミュージシャン受難の時代、TFCの新作がCDやレコードの形でもたくさん売れればいいなと思う。

90年代からのTFCファンだけど、新作が出るたびにこうやって首を長くして待望するような忠実なファンでは決してなかった。それどころか、現在進行形のTFCに興味を失っていた期間も相当長かった。それが、前々作「Shadows」(2010年)から徐々に、TFCの新しい音楽に再び耳を引きつけられるようになった。「第3の男」レイモンドが、このアルバムで以前のTFCとは少し違った展開の曲を作り始めているのに気づき、前作「Here」(2016年)を引っさげて来日した2017年のライブでは、レイモンドの放つ磁力の強さに遅まきながら圧倒されて、現在のTFCは彼がキーマンなんだとはっきり認識した。レイモンドを自分内で中心に据えることで、さかのぼって「Howdy!」(2000年)の真価もようやく理解でき、そんなこんなでやっと現在のTFCに再び歩調を合わせることができた。その矢先に起きたジェリーの脱退があっても、失望せずに新生TFCについていこうと思えたのは、レイモンドの存在があったからこそ。その信頼に見事に応えてくれた2019年の来日公演は、これまでの人生で体験してきた中でも指折りの本当に素晴らしいライブだった。


今は「Shadows」を久しぶりに流しているところ。これに入っているレイモンドの「The Past」、すごくいい曲だなあと改めて思う。コード進行がそれまでのTFCにはなかったような新境地で、「過去が戻ってきて、君を救ってくれる」という歌詞も含めてジョージ的な優しさ、慈愛が感じられる。年齢を重ねるほどにどんどん深く熟成されていく、ソングライターとしてのレイモンドの良さを自分が認識するきっかけになった曲。この「Shadows」からも今年でもう11年経った。新作の曲をノーマンと半分ずつ分け合うことになり、TFCにおけるレイモンドの重要度、すなわちレイモン度が過去最高レベルになっているはずの新作。思いがけず長いこと待たされたけど、とうとうここまで来た。CDが届くのがほんとに楽しみだ。

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