「Endless Arcade」、とうとう手元に届く

4月30日にとうとうリリースされたティーンエイジ・ファンクラブの新作「Endless Arcade」、自分の手元に届いたのは昨日、5月3日だった。自分は発売日の前にAmazonで輸入盤を注文していたのだが、前回記事でちらりと書いたように、4月30日になっても「一時的に在庫切れ」となったまま発送の連絡が来ず、翌日の晩まで待っても状況が変わらなかった。さすがにもうこれ以上待たされるのは勘弁してほしいので、輸入盤はキャンセルして「在庫あり」の国内盤を注文し直し、ようやく無事に手元に届いた。

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よくわからないけど、イギリス盤・アメリカ盤ともに今のところ海外への輸出が滞っている状況なのだろうか。日本国内盤が出ていてよかった。これもコロナ禍の影響なのか、最後の最後まですんなり行かなかったが、とにかくこれでようやく「Endless Arcade」をエンドレスに待ち続ける日々が終わったのである。めでたい。

届いた日の夜にCDをさっそく聴いて、今日はSpotifyで2周聴いた。控えめに言って、素晴らしいアルバム。本当に待った甲斐があった。じわじわと胸に染み入る12曲。2016年の前作「Here」は、2000年の「Howdy!」から始まった流れの集大成という感じがしたけど、「Endless Arcade」は大きな変動を経たTFCの新たな第一歩。あまりにも大きなジェリーの不在を、それはそれとして正面から受け入れ、逃げたりごまかしたりすることなく新たなバンドの形を誠実に模索した上で生み出された、本当に見事な作品だと思う。これはまさに2019年2月の来日公演で見たあの5人ががっちり組んで作り上げた音楽だ、と実感できた。あのときの彼らが作っていた音楽が、2年以上経ってやっと手元に届いたのだ。

先行公開された5曲以外の残り7曲も粒ぞろいで、初めから終わりまでアルバム全編がっつり聴き応えがある。タイトル曲「Endless Arcade」をはじめとして、レイモンドの曲がやはり凄い。「人生は終わりなきアーケード、恐れることはない」という本作の核になる言葉を生み出したレイモンド、今やバンドの中心的な柱として不動の存在感を放っている。淡々と曲が進んでいくかと思いきや、鋭角的にひねったコード進行がふっと現れて空気が一変するような場面が、本作のレイモンド曲にはたびたび出てきて驚かされる。絶妙に予測不能なところに転がっていく展開に変幻自在に対応して、的確に彩りを付けていくエイロスのキーボードも非常に巧み。エイロスがTFCに加わって本当に良かった。早くまた、あの5人でこのアルバムの曲を演奏するところが見たい。

かたや、ポップなメロディーで心を一発わしづかみにしてくるのは、やっぱりノーマンである。改めて、ノーマンは天才。歌詞をざっと読むと、来年で生誕半世紀になる自分にとっても本当に他人事ではないのだが、もはやティーンエイジ・ファンクラブというよりミドルエイジ・クライシスという感じの内容が多い。心の痛みや苦しみ、暮らしの不安を包み隠さずそのまま歌っているように見えるけど、それでもノーマンの作る歌は決して情けないものにならない。天に選ばれし者だけが持つ才能の輝き、これだけは他の誰にも手の届かないノーマンだけの宝物。きっと、どれだけ年を取っても、この輝きだけは失われずにノーマンのもとにあるのだろう。一昨年のライブで最後に「Broken」を歌ったように、心の内を痛いほど率直にさらけ出すのがノーマンで、自分はそんな歌にとても救われるし、ノーマン自身も救われているのかもしれない。

言うまでもないけど、「The Concept」や「About You」のように、聴いた途端にハンマーの一撃を脳天に食らうような曲は、この2021年の新作には入っていない。90年代の名曲群にガツーンと衝撃を受けた記憶は絶対に一生忘れないだろうけど、あれから年月を経て、自分の側でもTFCに対する気持ちに紆余曲折ありつつ、こうやって新体制で生み出された2021年のまっさらな新作を正面から受け入れることができて、心から楽しめていることをとても嬉しく思う。「Shadows」あたりからは、年齢を重ねたTFCとまた一緒に歩んできたと思っているし、もちろんこの先もずっとついていく。「Endless Arcade」の個々の曲については、気が向いたときにまた当ブログにぽつぽつと書いていくつもり。ジェリーとは明らかに違った個性を持つデイヴのベースについても、いずれ書いてみたい。時間をかけて、もっと聴き込んでいこう。

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