ジョージが1965年に選んだジュークボックスの40曲(YouTubeプレイリスト)

こないだNMEのニュースサイトを眺めていたら、1965年にジョージが持っていたジュークボックスのプレイリスト、という興味深すぎるタイトルが目に入って、どんな曲が入っていたのかさっそくチェックしてみた。そのジュークボックスは、当時のジョージがパティと一緒に暮らしていたイーシャーの自宅に置かれていたという。

Check out this playlist of George Harrison’s jukebox from 1965 (NME)

ここに載っているプレイリストは、65年当時のジョージに取材して「Record Mirror」誌に掲載された記事がもとになっているというので、その元記事にも当たってみたくなり、検索してみたら同誌のアーカイブも見つけることができた。掲載誌は「Record Mirror」1966年1月1日号で(PDFアーカイブ)、65年の暮れに出たもののようだ。「George Harrison’s Fab Forty…」と題された小さな記事に、ジョージが選んだ40曲がトップ40形式で並んでいる。トップ10は以下のとおり。

1. Harlem Shuffle – Bob and Earl
2. Good Things Come To Those Who Wait – Chuck Jackson
3. Be My Lady / Red Beans and Rice – Booker T. and the MG’s
4. Please Crawl Out Your Window – Bob Dylan
5. Baby, You’re My Everything – Little Jerry Williams
6. Back Street – Edwin Starr
7. Work, Work, Work – Lee Dorsey
8. The Little Girl I Once Knew – The Beach Boys
9. My Girl Has Gone – The Miracles
10. I Don’t Know What You’ve Got (But It’s Got Me) – Little Richard

さらに、「ジョージのお気に入り」という紹介で残りの30曲。

11. I Can’t Turn You Loose – Otis Redding
12. My Girl – Otis Redding
13. I Believe I’ll Love On – Jackie Wilson
14. Plum Nellie – Booker T. and the MG’s
15. Everything Is Gonna Be Alright – Willie Mitchell
16. A Sweet Woman Like You – Joe Tex
17. Something About You – The Four Tops
18. I Got You – James Brown
19. Ain’t That Peculiar – Marvin Gaye
20. Turn, Turn, Turn – The Byrds
21. See Saw – Don Covay
22. I’m Comin’ Through – Sounds Incorporated
23. Don’t Fight It – Wilson Pickett
24. Boot-leg – Booker T. and the MG’s
25. I Ain’t Gonna Eat Out My Heart Anymore – The Young Rascals
26. Respect – Otis Redding
27. Try Me / Papa’s Got A Brand New Bag – James Brown (instrumentals)
28. I’ve Been Loving You Too Long – Otis Redding
29. All Or Nothing – Patti Labelle and her Belles
30. Pretty Little Baby – Marvin Gaye
31. Oowee Baby, I Love You – Fred Hughes
32. The Tracks Of My Tears – The Miracles
33. Yum Yum – Joe Tex
34. Agent 00 Soul – Edwin Starr
35. Money – Barrett Strong
36. Some Other Guy – Ritchie Barrett
37. It Wasn’t Me – Chuck Berry
38. Mohair Sam – Charlie Rich
39. Let Him Run Wild – The Beach Boys
40. Do You Believe In Magic – The Lovin’ Spoonful

ジョージの選曲をざっと眺めると、当時のソウル最新ヒット(今ではどれもクラシック)がずらり。ブッカー・T&ザ・MG’s、オーティス・レディング、ジェームス・ブラウン、マーヴィン・ゲイ、そしてジョージが敬愛してやまないスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズと、名前を並べていくだけでも楽しいプレイリストである。60年代の音楽のファンなら誰でも知っているような有名ヒット曲が目立つ中、リストのトップを飾るボブ&アールの「Harlem Shuffle」は、80年代にローリング・ストーンズがカバーしたから自分も曲としては知っていたけど、オリジナルバージョンはビルボードで最高44位とマイナーヒットに終わっていたようだ。こういう曲を見逃さないジョージ、さすがである。ジェームス・ブラウンの「Try Me / Papa’s Got A Brand New Bag」はインストと表記されている。おそらく、JBがオルガンを弾いたセルフカバー作「James Brown Plays James Brown Today & Yesterday」からカットされたシングルの両面だろう。この選曲は、渋い!



ジュークボックスといえば、たしかジョンも60年代に所有していて、同じように選曲内容が公開されていたはずである。これも検索してみると、ジョンの選曲したジュークボックスの中身はそのままCD化されていた(Wikipedia記事)。こちらもソウル名曲がずらり並び、ジョージのプレイリストと共通する部分がかなり多い。ジョンがジュークボックスを購入したのもジョージと同じ1965年。まだまだビートルズは一枚岩で、メンバー全員で同じような音楽を聴いて仲良く楽しんでいたんだろうなあ、と想像させる。同誌の巻末にあるキャッシュボックスの全米アルバムチャートですでに1位に君臨している「Rubber Soul」(発売直後だったはずで、「Help!」もまだ4位にいる)は、全自分のお気に入りアルバムチャートでも不動の第1位。その名の通り、ソウルミュージックの影響が随所で伺える作品である。ジョージとジョンのジュークボックスに並んだソウル名曲群も彼らの中で消化されて、あの大傑作を生み出す糧になったのだろう。

ソウル系以外で目につく選曲は、まずディランの「Can You Please Crawl Out Your Window?(窓からはい出せ)」が入っていること。しかも同誌によれば、これは別のシングル曲「Positively 4th Street」の初期サンプルプレスに「窓からはい出せ」のテープが間違えて使われたもので、コレクターズアイテムだという。何だ、それは?と調べてみれば、実際にそのようなミスがあったらしく、そのバージョンは直後に回収されたとのこと。ジョージが持っていた製造ミスのシングルに収められた「窓からはい出せ」は「Highway 61 Revisited」セッションからのアウトテイクだそうで、「Biograph」などで聴ける正式バージョン(数か月後の「Blonde On Blonde」セッションで録音)とは全然違うものである。2015年に出たボックスセット「The Cutting Edge 1965–1966」のデラックス/コレクターズ・エディションに「Take 17」として収録されたのが、ジョージのジュークボックスに入っていた回収バージョンのようだ。


「窓からはい出せ」にこんなミスプリ回収バージョンがあったなんて、自分は今まで知らなかった。というかジョージ、どうしてそんなレアなアイテムを持ってるんだ!ただのディランマニアか!と思わずにいられようか。いち早く手に入れたディランのニューシングルがたまたま製造ミスだったのか、気の利く業界関係者から珍品を譲ってもらったのか……とにかく、やはりジョージ選曲のジュークボックスは一筋縄ではいかないし、65年当時からジョージがディランの音楽をかなり細かく、熱くフォローしていたことも十分に伺える。

ビーチ・ボーイズが2曲入っているのも見逃せない。「The Little Girl I Once Knew」「Let Him Run Wild」と、どちらも翌年以降の展開を予感させるクリエイティブな野心作が選ばれている。特に「Let Him Run Wild」はあの「California Girls」のシングルB面なのである。A面は押しも押されぬビーチ・ボーイズ・クラシック、誰もが認める代表曲だけど、そこをあえてひっくり返して「Let Him Run Wild」を選んだのは、さすがジョージ、と繰り返すほかない。



こういう美しい音楽を聞き分けるジョージの耳の確かさは、ほかのアーティストの音楽を的確に、時に辛辣に評する言葉を見てもよくわかる。以下の動画は、65年12月にリリースされた色々なシングルをその場で初めて聴かされたジョージによるレビュー記事の紹介。ばっさりと切り捨てられたシングルも続出する中、「僕はゾンビーズには弱いんだよ」と「Is This The Dream」をべた褒めしているのが嬉しい。

ジュークボックスの選曲で40曲目、最後に入っているのがラヴィン・スプーンフルの「魔法を信じるかい?」である。これもまた嬉しい選曲。ジョンのジュークボックスにも同じ曲が入っている。65年当時、まさに魔法のような音楽をいくらでも連発していたビートルズのメンバーが二人揃って「魔法を信じるかい?」を選んでいたのは、何だかいいではないか。こういう魔法なら、とことんまで信じ込みたい。

最後に、ジョージのジュークボックスの選曲を再現した自作YouTubeプレイリストを載せる。NMEの記事ではSpotifyプレイリストが紹介されていたし、YouTubeにも同趣旨のプレイリストはすでにあるけど、上に書いたようにディランの「窓からはい出せ」が回収された別バージョンであるところが、この自作プレイリストの重要なポイントである。まあそんな細かい話はさておき、本当に楽しい気分になれる最高の音楽ばかりが並ぶジョージのナイスな選曲である。お楽しみあれ!

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