ジョージ1974年北米ツアーでの「For You Blue」

1970年初頭、「I Me Mine」のレコーディングや「Let It Be」へのギターソロのダビングとともに、「For You Blue」のヴォーカルを再録音してビートルズとしてのお勤めを終えたジョージ。以後、「Dark Horse」発表時の1974年北米ツアーでジョージは「For You Blue」を再演していて、正式録音されたライブバージョンは1988年に2500部限定の豪華本「Songs by George Harrison」の付録EPにのみ収録された。「Somewhere In England」の素晴らしきボツ曲「Sat Singing」(この曲について書いた記事)が収録されているのと同じ4曲入りEPである。まったく、これがきちんとした形で聴けないのは本当にもったいない。この74年ライブバージョン、とてもいいのだ。


74年時点では名実ともに、スライドギターの名手として確固たるものを築き上げていたジョージ。ここでは満を持して、ビートルズではジョンが弾いていたラップスティールギターのパートを自身のスライドで披露、するかと思いきや、74年ライブでは打って変わってスライドが入っていない。代わりに大きくフィーチャーされているのは、ツアーバンドのメンバーのソロ回し。これがとてもいい演奏。ヴィブラフォンのソロは華やかでパーティーめいた楽しさを醸し出しているし、ウィリー・ウィークスのゴリゴリとした音のベースソロはえらく格好良くて盛り上がる。どうしてこれがきちんとした形で発表されないんだろう。74年当時には、ビートルズの面影を求めるマスコミやファンの失望を買ってしまい、散々な評価だったというジョージの北米ツアー。当時の演奏が惨憺たる出来だったなんて、この実際の音を聴いてどうして信じられようか。ぜひ、ブートレグなどでなく、ちゃんとした形で当時のライブの全貌に出会いたい。あの「Let It Be」だって、50周年を機会に当時のネガティブなイメージをひっくり返そうという動きが盛んになっているのだから、ジョージの74年ツアーも50周年の2024年には、「当時のファンの期待には必ずしも沿わなかったけど、実際は素晴らしいものだった」という観点で振り返りの気運が高まって、改めてきちんと総括されてほしい。そして正式なフルボリュームのライブアルバムが出るのを心から期待している。
74年以後、ジョージは「For You Blue」をライブで演奏していない。1991年12月の来日ツアーでは演奏されなかったのだ。今から20年前の2001年11月に亡くなってしまった後、翌年の追悼コンサート「Concert For George」ではポールが歌った。

そして、2013年にはダーニがとてもクールにカバーして歌い継いだ。

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