George Harrison「Isn't It A Pity (Take 27)」

発売日が迫ってきたジョージの「All Things Must Pass」50周年記念盤から、「Isn’t It A Pity」の別テイクが先月末に先行公開されていた。


エリック・クラプトンらしきギターが入ったバンド編成で淡々と繰り広げられる、これ以上なくシンプルな演奏。オリジナルアルバムに収録されている2バージョンのうち、アルバム後半に登場する静かな方の「Version Two」の別テイクだろう。自分はこの沈静しきった演奏を聴いていて、まるで「ジョンの魂」みたいだ、と思った。時期的には、1970年6月頃に録音された「Isn’t It A Pity」の方が、9~10月の「ジョンの魂」よりも先。「ジョンの魂」ではリンゴとクラウス・フォアマンがジョンのバックについて、極限までそぎ落とされた音楽を追求していたけど、リンゴとクラウスが「All Things Must Pass」にも深く関わっていたことを考えると、今度の50周年記念盤のフィル・スペクター色を薄めた新ミックスやアウトテイクから、「ジョンの魂」とのつながりも見えてきたりしたら面白いと思う。特にビートルズ解散直後のジョージとジョンには、さまざまな面で互いに通じる部分が大きかったはずだから。

「Isn’t It A Pity」のWikipediaによれば、シングルカットされた壮大な「Version One」を6月上旬に録音した後、ジョージは出来に不満を覚えたようで、「Version Two」はそれから数週間後のセッション中に偶発的に生まれ、どちらもアルバムに入れることにしたという。あの「Version One」に不満を覚えるなんて、当時のジョージはどれだけ神がかっているのかと思うけど、確かに曲のテーマとしてジョージが言いたかったことがダイレクトに伝わるのは、シンプルな「Version Two」の方。ジョージはこちらもアルバムに入れなければ気が済まなかったんだなと、このジョージの声が直に語りかけてくるアウトテイクを聴いて改めて感じる。この曲も「Long, Long, Long」と同様、ラブソングと取れなくもないけど、もっと大きなことを言っているように考える方が自然だと思える。歌詞の主語である「We」はジョージ自身を含めた人類全体であり、「僕たち」は与えられた愛をただ感謝もせず受け取るだけで、こちらから愛を返すことを忘れて、互いに傷つけ合うばかり。それはとても残念なことじゃないか、という問いかけ。この曲の続編という位置付けの「答えは最後に」(訳詞)でも、「僕らは愛する人のことをないがしろにして、ときに誰よりも深く傷つけてしまう」と歌っている。受け取った愛は、こちらからも返さなければならない。自分から愛をたくさん与えれば、相応の愛が必ず返ってくるし、そうであるべきだ。これはジョージの根幹にあった基本的な考えの一つだろうし、自分も同じことを信じている。

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