ジョージが26歳の誕生日にひとりで録音した3曲

アビー・ロード50周年記念盤は、新ミックスと各曲の未発表バージョンが入った2枚組を購入した。その記念盤のライナーを読んでいたら、自分が当ブログに先日載せた記事で、記念盤に収録の「Something」スタジオデモについて書いた箇所に間違いがあったことに気付いたので、当該記事をこっそりと訂正したところである。この演奏はアンソロジーとは別テイクだろう、ピアノと一緒に演奏し直したものだと思う、なんて書いてしまったが、昨晩よくよく両者を聞き比べてみたところ、ギター弾き語りのテイクはどうやら同じのようだ。そして、このデモがテープに残された1969年2月25日、ジョージ26歳のお誕生日の録音はジョージがひとりで行っていたのだ。ピアノもジョージが後から自分の弾き語り演奏にかぶせて録音したものらしい。こんな風に、事実関係をろくに調べずに自分の憶測や思い込みのみで適当に書いているブログである。外からの反応も受け付けていないので書いてる本人が気付かない限り訂正もされない。記事の内容はあまり鵜呑みにしない方がいい(他人事・開き直り)。

そのジョージ26歳のお誕生日記念に録音されたのは「Something」「Old Brown Shoe」「All Things Must Pass」の3曲。それぞれかなり違った運命をたどることになるが、一番地味な「Old Brown Shoe」は公式バージョンの短いシャープなギターソロが格好良い。こういう考え抜かれたフレーズを無駄なく凝縮したコンパクトなソロが自分は大好きである。ビートルズ解散後にスライドギタリストとして大きく花開いたジョージだが、ホワイトアルバムからビートルズ末期までのジョージにもインスピレーション満載の名演がとても多いと思う。ロックギタリストとして一番脂が乗っていたのはむしろこの時期の方ではないかと、アビー・ロード50周年記念盤に収録のアウトテイクでのギター演奏を聴いていても再認識した。


デモ録音の話に戻るが、26歳のお誕生日にジョージがひとりで3曲を録音していたというのは、自分へのバースデープレゼントだったのだろうか。レノン=マッカートニーに匹敵する曲がどんどん生まれているのに、なかなか自分の曲がまともに取り上げられず不満を溜めていたジョージ。お誕生日祝いにジョンとポールがジョージの新曲にスポットライトを当ててくれたわけでもなく、単独でスタジオに入って自信作のデモを録音していた。お誕生日なのにちょっと寂しい気もするけど、考えてみると、デモを録音するだけが目的ならジョージは自宅に立派な機材を持っていたはずだ。ホワイトアルバムのデモ(イーシャー・デモ)はその機材で録音されて非常にいい音質で残っている。誕生日にひとり、わざわざアビー・ロード・スタジオのスタッフの前でデモを録音していたというのは、なにかジョージの決意のようなものを感じる。自分にはもうこれだけの実力がある、今後はあの二人に頼らず自力でやるから見ていろよ、という。これも単なる自分の憶測に過ぎないけど。とにかく、自宅ではなくアビー・ロード・スタジオで録音されたので、この3曲のデモはどこかに埋もれることなくビートルズのCDに入って広く聴かれるようになった。

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ふたりのジョージ、「The Complete Beatles Recording Sessions」より

「Circles」「Art Of Dying」「See Yourself」など、66~67年頃に書かれて後年のソロ作で発表された曲はいくつもあって、当時すでにアルバムが作れるほどのストックがあったらしい。「Revolver」ではアルバム1曲目の「Taxman」をはじめ3曲の自作曲収録を勝ち取ったジョージだが、それどころか次のアルバムは全曲ジョージ作にすることだって可能だったはずだ。67年の終わり頃には、恐るべき第三の男が時代の主役に躍り出ていたかもしれない。もちろんそうはならなかったが、ジョージはまっとうな実力で道を切り開いた。日の当たらない冬の時代を堪え忍びながら、地下で力をじっくり蓄え、時期が来たら一気に大きく花開いたジョージは、冬越しの植物によく似ている、かもしれない。

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