危うし八町きゅうり、ヴァイナルにすがるの巻

ゴールデンウィーク前に植え付けを決行した八町きゅうりだが、ゴールデンウィーク中に大きな災難に見舞われてしまった。植え付けから4~5日が経った週末、苗の一つがうちのキュウリにとって最大の宿敵であるダンゴムシ(以降、DGMと表記)の大量襲撃を受けて、すっかりダメになってしまったのだ。先週の後半はかなり雨が降ってキュウリ畑の土が湿っており、DGMたちにとっては居心地の良い状態だったのだろう。去年は天候不順で失敗した八町きゅうり、今年は種蒔きからすこぶる順調にここまで来ただけに、ショックが大きかった。取り急ぎ、あり合わせの材料でできる忌避方法を試した。前にも園芸記事で取り上げたことがある、インスタントコーヒーを散布する方法である。DGMはコーヒーの匂いを嫌うという。苦すぎて飲めないぐらいの濃度のコーヒーを作って、これでもかというぐらいの量をまいた。果たして翌朝……まったく効果なし。さらにもう一つの苗をやられてしまった。がっくりと膝をついた。

かくなる上は、やむを得ない。前回記事では、なるべく殺生を避けるのが自分の園芸ルール、なんて書いていたけどあっさり前言撤回である。だいぶ前にベランダで育てていた植物がやはり食害に遭ったときに使った殺虫剤がまだ手元にあったので、それをじかに吹きかけてみた。あのキンチョールと同じ除虫菊の成分を使った殺虫剤で、植物由来だから野菜に使っても安全、という触れ込みのもの。しかし、いくら吹きかけても宿敵どもは丸まって苦しむどころか、どこ吹く風とばかりに少しも慌てる様子さえ見せず、のそのそと平常運転である。うーんそうか、彼らは昆虫ではないのだから、昆虫用の殺虫剤ではまるで効き目がないわけだ。DGM駆除用の薬剤もホームセンターで売られているけど、成分を調べてみれば完全なる農薬。犬や猫にも害があるということで、そんなものは庭で使いたくない。どうしたものか。焦りながらネットで調べると、コーヒー以外にもお酢や木酢液の匂いを嫌い、薄めたものをスプレーしてやるといなくなるという。お酢、実はわりと苦手な食材で、自ら進んで料理には使わないので台所に置いていない。庭のキュウリ畑からお酢の香りが漂ってくるのも、どうも気が進まない。もう一つの木酢液については馴染みがなく、読み方すら分からない。きす液?もくす液?とにかくこちらはお酢というより燻製のような匂いだというので、こちらの方が自分には合いそうだ。急いで木なんとか液をホームセンターに買いに走り、さっそく試してみることにした。

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木酢液の正しい読み方は「もくさく液」だと分かった。木炭を作るときに発生する煙を冷やすとできる液体だそうで、まさに焚き火や薪ストーブの匂いそのものである。これはまったく嫌いではない。ボトルには土壌改良や消臭に効き目を発揮すると書いてあり、虫除けのことにまったく触れられていないのが気にはなったが、とにかくこちらは藁をもつかみたい思いである。ネットで勧められている通り、300倍に薄めて苗と足下の土にくまなく散布。何となく、殺虫剤のときよりもDGMに焦りの動きが見られ、これはいいかも、と思った。それから数日は新たな被害もなく平穏な日々。木酢液、素晴らしいじゃないか!と、次回園芸記事はそのままいけば救世主・木酢液を礼賛する内容を書くところだったのだが、結局、やはりダメだった。今朝はさらに一つの苗が犠牲に。DGMは発芽したばかりの双葉を好んで食べ、茎だけにするのが得意技なのだけど、その気になれば本葉も食べるし、今朝は茎までやられて、苗が倒れていた。もう、情け容赦なくやられっぱなしである。収穫まで大切に育てていきたかったのに、ステキなタイミングを見計らって植えたはずの6つの苗が、半減してしまった。そのタイミングはちっともステキなんかではなかったのだ。何もかも、宿敵DGMのせいだ。

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3つに減る直前の様子。写真の下側中央の苗も翌朝にやられた。

ただ、先日植え付けた6つ以外にも、まだ元気な苗が4つ残っていたのは幸いだった。実は、そのうちの3つはすでに別の場所に植え付けていて、そちらは今のところ被害を受けていない。その場所は一番日当たりの良い南西側ではなく、半日陰がちの南東側である。昨年も別のキュウリを育てていた場所で、そちらも収穫まではたどり着けなかったけど、小さなキュウリが一つだけでき(そのときの記事)、半日陰でもしかるべき時期に植え付ければ収穫まで行けるはずだと見込んでいた。しかし、何も対策を打たなければこちらにもDGMが襲来するのは時間の問題だろう。どうしたものか。朝の散歩の1時間、ずっと考えた末、もうヴァイナルにすがることにした。虫とのすったもんだに嫌気が差してアナログレコードの世界に逃避しようというのではない。久々のビニールマルチをやってみることにしたのだ。ビニールの上はDGMにとって歩きづらそうだし、端っこに急傾斜を付ければ登ってこられなくなるのではないか。ビニールやプラスチックも園芸にはなるべく使わない方針にしていたけど、やれることは何でも試しておきたいし、ビニールは不要になったらきちんと片付ければいいだけのことである。

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南西側。写真左上の苗は新たに植え直したもの

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南東側の3つ

空は晴れていたものの吹きすさぶ強風の中、飛ばされそうになるビニールを必死に押さえながらマルチをかける作業はちっとも楽しくなかったが、どうにかやり遂げた。こうやってビニールマルチをかぶせると、やたらと「何かやった」感が強く醸し出されてくる。マルチといっても、元は何か大きな家具を買ったときの梱包材を捨てずに取っておいたもので、園芸用ではない普通のビニールを流用したのだけど、小さな穴がたくさん空いていて通気性が良さそう。そういえば、初めてマルチングをやったときは、適当なビニールが手元になくてディスクユニオンの黒いレコード袋を使ったものだった。ヴァイナルを入れる袋が黒ビニールマルチに化けたのである。あのときはとてもうまくいった。とにかく、今日やれることはやった。あとは、天命を待つのみである。

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