Here Comes The Sun

ビートルズの「Abbey Road」がイギリスで発表されたのが1969年の9月26日。その中の一曲として「Here Comes The Sun」が世に出て、昨日で50周年。幼少の頃からビートルズの曲は「ポンキッキ」で断片的にコラージュされていたり、あちこちで流れていたりして無意識のうちに耳にこびりついていたけど、ビートルズというバンドの楽曲として「Here Comes The Sun」を知ったのは、10歳の頃だった。当時の自分は、父親がラジオから録音していた50~70年代英米ロック・ポップス特集のテープにどっぷりはまり込んでいたのだが、その中に「Here Comes The Sun」も入っていた。あれから35年以上が過ぎたけど、この曲が好きじゃなかったことは一瞬たりともない、と言い切れる。小学4年生の頃から一貫して愛し続けている、自分の基調としていつも流れている音楽。あらゆる音楽の中で自分にとって一番重要な曲である。


50周年に合わせて公開された公式ビデオ、この記事を書いているいまはじめて見たけど、すごくいい。インド神話からの引用らしき文章の一節と挿絵が入った美しい便せんにジョージが綴った歌詞の手書き原稿が、映像の中で素敵にフィーチャーされている。この曲への愛情が込められた映像だと思う。

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ジョージの手書き歌詞原稿、アンソロジー本より

自分にとってこの曲の魅力のかなり大きな部分はイントロのギターに詰まっている。自分はアコースティックギターの音がやはり一番好き。この曲で聴けるギターの音色は完璧中の完璧。ピックが弦に当たるカチッという鋭い音、金属弦の高音域の輝き、弦の振動が木のボディーを響かせる中音域の豊かさ、すべてのバランスが理想的なのである。中間部のコーラス、「Sun, sun, sun, here it comes」のところのアルペジオもとてもいい。録音当時、ここにエレキギターのオブリガードを絡ませる案もあったようで、実際にそんなアレンジの別ミックスがネットで公開されたこともあった。これも面白かったし、たしかにエレキが入ってもいいすき間を感じる部分だけど、やはり元のアレンジが絶対に正解だと思った。あの優しい木漏れ日のようなアルペジオは、凍りつく冬が終わって暖かい日差しが降り注いできた、わくわくするようなうれしい気持ちを余すところなく音楽で表現していて、あれを主役にしてコーラス、ハンドクラップ、シンセ、そしてリンゴにしか叩けない抜群のフィルインで盛り立てる演出がやはりぴったりだと思う。末期ビートルズの憂鬱な会議にうんざりしたジョージがアップルのオフィスを抜け出して、親友エリック・クラプトン宅でギターを抱えて庭を歩き回り、実際に春の暖かい日差しを浴びながら生まれた曲だという。こんな成り立ちも最高だし、やはりそんな曲の主役はアコースティックギターでなければならない。

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この曲、Spotifyの再生回数ではビートルズの全曲中ぶっちぎりの一位である。すなわち、現代のリスナーにとってビートルズで一番人気のメンバーはジョージ、と言っても過言ではないのだ。いや、過言かも、さすがに。自分もこれがジョージの曲だと知ったのは10歳の頃ではなくてずっと後だったと思う。子供の頃はビートルズのメンバーの区別がそんなに付いてなかった。それはともかく、69年のジョージが生み出したこの曲はどこを取っても完璧だと思う。ギター曲としても、文字どおりの陽だまりフォークとしても、もちろんビートの効いたロックソングとしても、いち早くMoogシンセを取り入れたプログレッシブな音楽としても。ギターの録音もバンド(ジョンは不参加)の演奏・コーラスもパーフェクト、ビートルズの数多い名曲の中でもここまで完全無欠なものはこれ以外になかなか思いつかないぐらい。アビー・ロードというアルバム内での位置付けも絶妙。そして、「太陽がやってきた、もう大丈夫」という歌詞の前向きな言葉にどれだけ心が救われてきたか。

当ブログの最初期に書いた「グーグーガジューブとクークーカチュー」という記事で、ジョージがポール・サイモンと共演してこの曲を演奏した映像を紹介した。もう一度、この記事にも載せる。ポール・サイモンが「僕の友達、ジョージ・ハリスンです」とジョージを招き入れて、まさに友達同士、ぴったりと息の合ったデュオを披露する。本当に美しく素晴らしい演奏なので、これからも機会があれば何度でも載せる。

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