インド日記2010年11月:引っ越すべきか、引っ越さざるべきか

この日記を書いた頃は、インドで当時住んでいた古いフラットが近いうちに取り壊されそうだということで、近辺で引っ越し先を探し始めていた。暮らしていた地域も物件もとても気に入っていて引っ越したくはなかったが、建物がボロすぎることは明らかだった上に、周辺地域はムンバイの新興オフィス街として急速に開発が進んでいて、住んでいたコロニー(団地)一帯が再開発されるという話がすぐそこまで来ていた。このときは、探してはみたものの全然いい物件が見つからず、いったん引っ越しを先延ばしにしたのだが、翌年にはとうとう大家さんからも退居を促されて部屋探しを再開、3月に別の地域に引っ越している。その古いコロニーは後年、本当に再開発されて現在では跡形もない。ちょうど10年後、古い借家に暮らして来春からどこに住めばいいのか揺れ動いている今と状況がだいぶ似ている。ここを超える物件は容易には見つからない、と当時もぼやいているが、今になって振り返れば過去に暮らしてきたところはどこもそれぞれ良い思い出(大変なことも多々あったけど)。

この日記のときは、ムンバイ生活の立ち上げ時にお世話になった方のつてで知り合った不動産エージェントに頼った部屋探しだったが、翌年の部屋探しでは自力でネットの物件検索サイトを駆使して個人営業のエージェントたちと会い、文字どおり何十件も探し回ってようやく新居を決めた。サイトに載っていた物件情報自体は古かったり実際と違ったりであまり当てにならなかったが、エージェントとつながるためには役立った。インドには日本のように、飛び込みの一般客を受け入れる店舗を構えた「不動産屋」のようなものは存在せず、個人のエージェントとつながれなければ部屋探しもどうにもならなかったのだ。

目下取り組んでいるのは、新居探しである。2006年8月以来、Mコロニーという団地にもう4年以上住んでいるのだが、そのうち団地全体が取り壊されて再開発されるという話は入居時からあった。毎年、「今年こそは取り壊しになるらしい」という噂を大家さんやお隣さんから聞かされてはやきもきしていたが、何も起こらないまま4年が経った。この部屋をとても気に入っている自分は、そんな話は立ち消えになってしまえばいいと常々願っていたのだが、今年に入ってついに取り壊しが現実化してきた。道路の向こう側にある、同じコロニーの建物群は既になくなってしまった。


お向かいは完全に取り壊され、重機が入っている

住んでいる棟の取り壊しがいつになるのか、正式なアナウンスはまだないのだが、本格的に退去ということになれば皆が一斉に物件を探し始めるだろう。そうなる前に早めに部屋探しを始めた方がいいと考えていくつか見に行った。今住んでいるところは、4年前に部屋探しをしたときに最初に見せてもらった部屋。学校から遠いことだけが難点だったが、結局10箇所以上見て回った中で、気に入った物件はここだけだった。大きな窓から大きな木が見え、便利なマーケットが近くにあり、いろんな場所へのアクセスも良くて、お隣さんはとてもいい人達。出会えたことが奇跡のような部屋で、ここを超えるものは容易に見つからないだろう。

最近のムンバイの家賃高騰はすさまじく、物件のクオリティーを考えると東京よりも全然高いと言える。昨日も、1階で家賃6万ルピー(12万円)という部屋を見たが、まったく好みではなかった。4年前にもお世話になった不動産エージェントのおばさん達の話によれば、今暮らしているコロニーの取り壊しに反対している人が16人おり、あと1年は取り壊しはないだろう、とのこと。結局そんな感じで延び延びになっている再開発話である。退去日が本決まりになれば2ヵ月前に告知されるので、それから部屋を探し始めるのがムンバイ流のようだ。早めの引っ越しを考えるよりも、これだけ気に入っているこの部屋に居られるだけ留まるのが得策なのかもしれない。


内見した部屋のひとつ。家具備え付けの物件が多い。これだけ他人の家具に囲まれると、ひとの家に住んでいる感が半端ない。

タイトルとURLをコピーしました