Little Richard

自分にとってはジョン・レノンですら、ビートルズを知った頃にはすでにこの世にいない歴史上の人物だった。リトル・リチャードはレジェンド中のレジェンド。昨日まで一緒の世界に生きていたこと自体が信じられないぐらい。こういう人物の訃報を聞くとまず、おお、今までご存命だったのか、という逆方向の驚きの後、自分に決定的な影響を与えた人たちへの影響、ひいては自分自身にじかに及んでいる影響をじわじわと実感していくことになる。リトル・リチャードの曲自体を聴くこともときにはあるけど、日常的ではない。リトル・リチャードの影響を直接受けた人たちについては、ここで言うまでもない。その人たちの音楽を自分は何十年にもわたって毎日毎日聴いている。昨日だって一昨日だって聴いた。リトル・リチャードがいなければ自分が音楽を始めることはなかったと公言する人たち。ディラン、ボウイ、ストーンズ、言うまでもなくジョン・ポール・ジョージ・リンゴ。これを書いてる今、シャッフルBGMで流れているジェームス・ブラウンのシャウトからもリトル・リチャードが浮かび上がる。自分のガイディング・ライトたちのガイディング・ライトである。訃報を見て最初に思い浮かんだのは、なぜかビーチ・ボーイズだった。歌詞の初っぱなにリトル・リチャードが出てくる「Do You Remember」。


少年時代のポールのエピソードで、リトル・リチャードの物まねをして歌うポールを見て、息子の歌はなんてひどいんだ、こんなひどい歌手がいるはずがない、と思っていた父親が、本物を初めて聴いて実は完璧な物まねだったことを知って驚いた、という話がある。この話が自分はかなり好きで、先日も思い出していたばかり。

リトル・リチャード以前に、あんな素っ頓狂な金切り声を大フィーチャーした曲をレコードに残したミュージシャンがいたんだろうか。エルヴィスだってチャック・ベリーだってそんなことはしなかった。誰に何と言われようが、頭がおかしいと思われようが、自分を貫き通してやりたいことをやり、出したい声を出したら、とんでもない大爆発が起こり、窮屈な障壁は木っ端微塵に吹っ飛んで自由を手にすることができる。自分が生きる指針にしている、ジョージの「やりたくないことは、やらなくていいんだ」にだってリトル・リチャードを感じる。「自分に合わない、やりたくないことでも、やらなければだめだ」という障壁をぶっ飛ばした、偉大な存在のひとり。物理的に金切り声を出したり、その辺にあるものを破壊したりすることはない。やりたくないことなどぶっちぎっても、世の中や周辺にそれほど迷惑をかけずに生きていける方法を必死に考えつつ、口から出まかせの魔法の言葉を金切り声で唱えるのだ、頭の中で。


間違いなく、元祖お化粧ロッカーでもあった。リトル・リチャード、永遠に。

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