Little Richard/The Beatles「Kansas City/Hey-hey-hey-hey!」

ビートルズによるリトル・リチャードのカバー曲といえば真っ先に「のっぽのサリー」が思い浮かぶのは当然のこと。ポールのシャウトの見せ場としてライブで何百回と演奏されただろう定番曲。スタジオバージョンもまさにスタジオライブで、初っぱなのテイク1の演奏が完璧だったので、もう録り直しの必要もなかったという。「Twist and Shout」や「Rock and Roll Music」もそうだけど、ワンテイク一発録りでばっちり決まった演奏には得体の知れない魔法がかかっている。そのテイク1の勢いを音盤に永遠に封じ込めたスタジオバージョン、何千回聴いてもそのマジックにしびれてしまう。


これ一曲といえば「のっぽのサリー」で決まりなのは異論の余地もないけど、「For Sale」に入っている「Kansas City/Hey-hey-hey-hey!」もリトル・リチャードのカバーだったことを自分は最近まで意識してなかった。「Hey-hey-hey-hey!」なしの「Kansas City」は、リーバー=ストーラー作曲の有名な50年代ヒット曲で、そちらのカバーだという認識だった。「For Sale」のクレジットでも「Hey-hey-hey-hey!」は省かれているし、作曲者もリーバー=ストーラーのみの表記。

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あたしの名前も入れなさいよ!と言わんばかりのリトル・リチャード

実際には、リーバー=ストーラーの「Kansas City」に自作曲の「Hey-hey-hey-hey!」をメドレーでつなげてカバーしたのがリトル・リチャードで、ビートルズはそれを元曲としているので、本来は曲名を「Kansas City/Hey-hey-hey-hey!」と表記して作曲者にもリチャードを加えなければならない。リチャード側からクレームがついて後年はメドレー表記に直されたらしい。でも「For Sale」というとジョージのグレッチの音色がまず思い浮かぶし、「Kansas City」でもイントロと間奏でカントリーっぽいのどかなトーンのギターが聴けて、あまりリトル・リチャード感がない。


こういうソロを高校生時代の自分は一生懸命コピーしていた。ギターの弾き方はジョージに習ったのだ。同じ曲でもライブだったり別テイクだったりするとソロのフレーズがそのつど全然違って、こういう風にギターソロはその場の即興で弾かなければならないんだな、と自分も譜面のコピーではなく適当なフレーズをそれっぽく弾く努力をした。ジョージも特に初期は即興がそんなに得意ではなかったみたいで、ビートルズ解散後のソロ作では隅々までしっかり作曲されたフレーズを弾くことがほとんど。それでも初期のジョージが模索しつつという感じで繰り出すアドリブソロにはジョージ独特の持ち味がとてもよく出ていて、自分はやっぱり大好き。
「Shindig」出演時の演奏でもソロのフレーズは違う。グレッチの音色が最高。

模索するジョージにならって即興演奏のやり方を覚えたおかげで、譜面を読むのが苦手/面倒くさい自分は、今でもギターを抱えてその場で思いついた弾きたいものを適当に弾いて楽しむことができる。何十年もギターと友達でいられるのは、譜面を読み書きしなくても楽しめるから。すべてはジョージのおかげ(結局ジョージ話で終わる)。

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