訳詞:George Harrison「Run Of The Mill」

この曲は、1969年1月中に行われたビートルズの「Get Back」セッションが終了して間もない時期に書かれたという。ちょうど53年前の今ごろだったのではないか。ジョージがビートルズの一員として過ごしたしんどい1月を、自分も同じ月に映画「Get Back」で追体験したばかりだったので、それを踏まえて2月にこの歌詞を読んでみると、この時期のジョージの心情がかなりリアルに伝わってきてしまう。明らかにビートルズの終焉について歌っているし、「君」という言葉からはどうしてもポールの顔が浮かんでくる。苦々しい歌詞だけど、それでもむき出しの怒りや攻撃性はほとんど感じない。長年一緒にやってきた愛する仲間を傷つけないように、ジョージが慎重に言葉を選んでいることがよくわかるのだ。やはり、慈愛のジョージ。歌詞全体から立ち上ってくるのは、怒りや憎しみよりもやるせない悲しみ、「慈悲」と表現したくなるような心情である。ジョージがこの歌詞を、初めて「詩」と言えるものが書けた、と気に入っている理由もわかる気がする。あからさまに非難がましくならないよう、一つ一つの言葉を吟味しながら書いたことで、表現にぐっと深みが出たのだと思う。

この歌詞の内容からして、ジョージが「Run Of The Mill」をビートルズの曲として発表する気は最初からなかっただろう。1969年2月25日、26歳のお誕生日には、ほかのメンバーの助けを借りずにたった一人でアビー・ロード・スタジオに入って、「Something」「All Things Must Pass」「Old Brown Shoe」の3曲のデモを録音している。「ジョージが26歳の誕生日にひとりで録音した3曲」という記事で前に書いたように、「誕生日に、一人で」というところにジョージの並々ならぬ決意を感じる。

「All Things Must Pass」50周年盤、映画「Get Back」そして「The Rooftop Concert」と、最近はすばらしいリリースが続いてジョージをさらに身近に感じられている。今年もまた、ジョージの生まれた記念すべき日が近づいてきた。

みんな自分で好きに選べばいい
いつ声を上げればいいか それとも黙っているべきか
それは君自身が決めること
どの道を選ぶべきか
僕らの愛が君の関心事ではなくなった今
それも君が決めること

君の周りにいる人たちは誰も
君のために泥をかぶったりしない
君の周りにいる人たちは誰も
今日の君を愛してはくれない
すべてを帳消しにしてもくれないよ

明日 君が目覚めたら
今度こそ僕のことを理解してくれるといいけど
そうでなければまた僕を失望させるんだろう
終わりへと流されていく日々の中で
君と僕の友情はどうして失われてしまったのか
でも君の目を見れば理由はわかるよ

君のそばにいても
あの役立たずを背負うことはできない
君の恩恵を受けるのも
これで終わりにするつもりだ
これからも君の思いを推し量り続けながら

君はどこまで高く飛び上がるのだろう
収穫が得られるほど成功できるかな
だけど結局たどり着くのは
自らが招いた終焉
ほかならぬ君が 痛手を負うことになる
それも君が決めること

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