訳詞:Owsley「Oh No The Radio」

1999年に出たオウズリーの1stアルバムに収録の「Oh No The Radio」。まさにラジオで聴いたこの曲にガツンとやられてCDを買った覚えがある。アルバムは最初から最後までどの曲も最高のパワーポップで、本当に何度も繰り返し聴いたし、飽きることなく今でも聴く。歌詞の内容は、邦題の「お願いレイディオ」のような甘酸っぱいものでないことはわかっていた。オーノー、ラジオでまたあの聞き飽きたタイアップ曲がかかっている、という音楽業界の過剰な商業主義に対する不満の歌かな、と何となく認識していたのだが、歌詞をよく読んでみるとそれもまた違って、ラジオの聴き手ではなく、ラジオでかかる曲の作り手の側から歌ったもののようだ。自分の歌った曲がヒットしてラジオで繰り返しかかるが、その曲がつらい失恋の記憶と結び付いていて、流れるたびに後悔に苛まれるからもう聴きたくないのに、ラジオはどこまでもついてきて逃れることができない、という重たい内容。リスナーを楽しませてくれる音楽をラジオから送り出す、作り手が人知れず抱える苦悩を歌った曲だったのだ。そんな曲が実際にラジオでかかって、自分は格好良さにノックアウトされたし、作ったウィル・オウズリーは44歳の若さで自死してしまった。自分の心を一発で捕らえる音楽を生み出すメロディーメーカーには、なぜか早すぎる死を遂げてしまった人が多い。自分はそんな音楽にどれだけ救われてきたことだろう。

歌詞に出てくる「ダニー&マリー」は70年代にヒットを連発したオズモンズのダニーと、その妹マリーによる兄妹デュオのことらしい。「Oh No The Radio」の主人公も、70年代にヒットを放った歌手という設定なのかもしれない。

やめてくれ、ラジオが
僕の耳をつかんで離さない
やめてくれ、ラジオが
あの曲をまたかけている
やめろやめろやめろ、ラジオが
僕の行く先どこまでもついてくる
やめてくれ、ラジオが
あの曲をまたかけている

あの日のことを忘れられたらいいのに
僕らのレコードがかかった日のこと
君のヘアブラシをマイクにして一緒に歌ったね
ダニー&マリーも真っ青だったよ
そのとき あの太った女が歌い始めて
すべてはおしまい 僕の耳鳴りが始まった
僕らの曲、君に捧げたお気に入りの歌
全米ナンバーワンに登りつめようとしていた

やめてくれ、ラジオが
また一発ヒットをステレオで垂れ流す
やめてくれ、ラジオが
あの曲をまたかけている
やめろやめろやめろ、ラジオが
僕の行く先どこまでもついてくる
やめてくれ、ラジオが
あの曲をまたかけている

売れない方がましだった
またあの選曲を聴かされるぐらいなら
僕は苦しみもがきながらロックしている
あの曲を聴くと君の顔ばかり浮かんでくる
好きなあいつのもとに行ってしまった
本当に土壇場まで追い詰められたとき
真実の愛とは与え、受け取るもの
割ってしまいたいレコードなんかじゃない

去っていった君を思うつらさ
乗り越えるなんて無理だと思ったそのとき
空がぱっと開けて太陽の光が差し込み
もっとほかに信じられるものを僕にくれた
そんなとき またしてもあの曲が
ノー!ノー!ノー!

ドライブインシアターに車を停めた
ここならラジオも追ってはこられまい
話しかけられたから窓を開けたら
映画のサントラから僕らの曲が
このストーリーがハッピーエンドになることを願うよ
僕の心も癒やされるだろうから
恋人よ、あの話をしたとき僕は本気だったんだ
あのラジオのせいで後悔ばかりさ

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全11曲、「捨て曲なし」とはまさにこのアルバムのこと

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