訳詞:Simon & Garfunkel「The Only Living Boy in New York」(ニューヨークの少年)

昨晩、S&Gの「明日に架ける橋」のレコードを聴いていて、あらためて「ニューヨークの少年」は歌詞も曲も良いなあと思った。「The Only Living Boy in New York」というフレーズの意味は、必ずしも「ニューヨークで暮らしているひとりぼっちの少年」とは限らず、取りようによっては「ニューヨークで唯一の生き生きとしている少年」とも、「ニューヨークでどうにか生きているだけの少年」とも理解できる。ここに書いた「ニューヨークでたったひとり生きている僕」という訳は落としどころのひとつに過ぎなくて、本当はもう少し玉虫色の曖昧なフレーズなのだ。歌詞をあらためて読みながら曲を聴いていると、ニューヨークの部屋にひとり取り残されて所在なく天気予報を眺めるしかやることがない「僕」の虚脱感がありありと伝わって、トムと「僕」のふたりからは何となく同性カップルのような雰囲気を感じるし、色々と行間のニュアンスが微妙で面白い。

当ブログの最初期の記事「グーグーガジューブとクークーカチュー」にも書いたように、ビートルズとS&Gは同時代の関わりが結構ある。「ニューヨークの少年」の透明感のある分厚いコーラスは、アビー・ロードっぽさを感じる。どちらかが真似をしたということではなく、ロックの最前線で同時代の空気を吸い、お互いの音楽に刻みつけた結果なのだろう。S&Gが当時の日本の若者、つまり自分の親の世代に与えた影響は非常に大きいようで、その層がS&Gを「青春の懐メロ」扱いする声が以前はやけに耳についてずっと不満だったのだけど、もちろんこれだけ濃密な内容のある美しい音楽が、60年代という時代を超えて伝わらないはずがない。ちゃんと音楽を聴いている人々には、S&Gの真価は現代もしっかり認識されているはず。自分にとってすごく大きな存在だし、毎日のように聴いているし(と書いている今だってかかっている)、当ブログでは今後もたびたびS&Gの話を書くだろう。

トム、飛行機に乗り遅れないようにね
もちろん君は役目をしっかりこなしてくるだろう
メキシコに飛んでいくんだね
僕はここにいる
ニューヨークでたったひとり生きている僕なのさ

天気予報で必要なニュースはつかめる
必要なニュースは天気予報で全部わかるんだ
ねえ、今日の僕はやることがないんだよ 微笑んでいるしか
僕はここにいる
ニューヨークでたったひとり生きている僕なのさ

僕らはどこかに行っていることが多い
でも行くあてはない
目的地はわからないんだ

トム、飛行機に間に合ったかな
今すぐ飛んでいきたくてたまらなかったんだよね
さあ、君の誠実さを輝かせて ひたすら輝かせて
僕を照らしてくれたように 君の輝きを
ニューヨークでたったひとり生きている僕なのさ
ニューヨークでたったひとり生きている僕なのさ

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