訳詞:The Beatles「For No One」

ギターが弾けるようになりたいと独学であれこれやっていた中学生時代、最初にどうにかコピーできたのはこの曲のベースラインだった。低音弦の単音弾きで、ド・シ・ラ・ソ・ファとメジャースケールを下降していくだけ。それだけでも楽しかった。

歌詞は最後まで第三者の目線で語られているけど、実のところ語り手は失恋した自分自身を「君」と呼んでいるのではないか。あまりにも大きな失恋の痛手から自分を遠ざけたくて、あえて第三者として状況を客観視しようとしているように思える。サビの「ない」「ない」と否定が続く言い方も、悲しんでいないように見える彼女の側の深い喪失感を静かに表現しているような。「リボルバー」の時期からポールはこんな巧みな歌詞を書いていたんだなあ。前々からポールの歌詞に好きなのがたくさんあって、作詞家としても優れていると思う。今後もいくつか訳してここに載せたい。

夜が明けて 君の心は痛む
彼女の優しい言葉ばかりが
ずっと耳に残っている
もう必要とされていない君への言葉

彼女は起き出して身支度をする
ゆっくりと時間をかける
急がなくていいのだと思いながら
もう君を必要としていないのだから

彼女の瞳にはもう何も見当たらない
愛を求めて涙を流しているのではない
誰のためでもない涙
幾年月も続くはずだった愛のためでもない

君は彼女を求めている 必要としている
それなのに彼女を信じない
もう愛は死んだと彼女は言ったのに
まだ君を必要としていると思いたい

彼女の瞳にはもう何も見当たらない
愛を求めて涙を流しているのではない
誰のためでもない涙
幾年月も続くはずだった愛のためでもない

君は家に閉じこもり 彼女は出かける
彼女は言う、ずっと前に付き合ってた人がいたけど
今はとっくに別れてしまった
その人がいなくてもやっていける

夜が明けて 君の心は痛む
これからもときどきあるだろう
彼女の言葉で頭がいっぱいになるときが
君が彼女を忘れることはないだろう

彼女の瞳にはもう何も見当たらない
愛を求めて涙を流しているのではない
誰のためでもない涙
幾年月も続くはずだった愛のためでもない

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