訳詞:The Kinks「Autumn Almanac」

今朝は散歩をしていて、すっかり秋になったな、と思ったら自然と「Autumn Almanac」が脳内に流れてきた。間違いなくキンクスで一番好きな曲。夏の暑さから解放されてほっとする一方で、どんどん日が短くなって冷え込む寂しさもひしひしと迫り、温もりが恋しくなってきて、という秋の感覚は、日本でも英国でも、たぶんほかの多くの国でも共通なんだろうなと思う。歌詞をきちんと読んだことは今までなかったのだけど、「リウマチ」が出てくることに初めて気が付いて少しびっくり。サマー・オブ・ラブまっただ中の1967年、フラワーパワーでさんざん盛り上がっていた主流のロック界を尻目に、キンクスは今年の秋も落ち葉掃き、背中のリウマチがしんどいわい、という曲をヒットさせていたのである。クールすぎる。やっぱり大好き。

「Autumn Almanac」を脳内で流しつつ、引っ越してきてまだ半年しか経っていない土地を散歩しながら、この曲の「僕の街」のくだりについて考えていた。自分には「帰っておいで」なんて呼んでくれる故郷といえる土地はない。こういう特定のホームタウンにいつでも帰れる境遇を羨ましく思う気持ちも大きいのだけど、小中学生の頃から変わらぬ顔ぶれがずっと周辺にうろうろしてるのもかなり嫌だろうなあ、と容易に想像できる。生まれ育った心地よい街を愛する気持ちと、離れたくても離れられない地縁を疎ましく思う気持ち、両方がない交ぜになった歌詞なのだろうと考えながら、いつもよりは少し時間をかけて訳詞をやってみた。

ちなみに、曲の後半で「almanac」が「アルマニャック」に聞こえる箇所があって、日本語の感覚だと「猫が出たな」と思うところなんだけど、ここは「autumn al-maniac」、つまり「マニア」とか「狂気」と掛けていたのかもしれない、と最近になって気付いた。

露に濡れそぼった生け垣から芋虫が這い出してくる
夜が明けて朝日が昇る時刻に
こういうことすべてが 僕に秋を告げる暦

かび混じりの黄色い木の葉をそよ風が散らす
僕は落ち葉を掃いて袋に集める
そう これが僕に秋を告げる暦

金曜日の晩には人々が寄り集まる
秋の冷え込みから隠れて一息つこうと
お茶と トーストしてバターを塗った干しぶどうパン
でもこれだけじゃ日光不足は補えないよ
もう夏はすっかり過ぎ去ってしまったんだから

ララララ……
ああ、背中のリウマチがしんどい
そう これもまた僕に秋を告げる暦
ララララ……
僕の秋がやってきた
そう これが僕に秋を告げる暦

土曜日はフットボールを楽しみ
日曜日はローストビーフがあれば文句なし
休暇にはブラックプールまで出かけて
開けっぴろげの空の下で日光浴したいな

ここが僕の街、決してここからは離れない
いつでもここにいるよ
たとえ99歳まで生きたとしても
僕が出会う人々は全員
どうせこの街の出身だと思うんだ
ここからは抜け出せない
いつも僕を呼んでいるんだから(帰っておいでよ)
ほら聞こえるだろう、呼んでるんだ(帰っておいでよ)

ララララ……
僕の秋がやってきた
そう これが僕に秋を告げる暦
ララララ……
僕の秋がやってきた
そう そう そうなのさ

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