New slang when you notice the stripes(もしくは、にゃーん)

10月は節目の月。インドから帰国して日本での暮らしを始めたのが8年前の10月、当ブログを立ち上げたのが4年前の10月である。当然、8年前までと比べて今の暮らしはがらりと変わったし、4年前までは存在しなかった当ブログが、今の自分にはとても大切なものになっている。今度は何を書こうか考えたり、これまで書いてきたものを反芻したりと、この場について思いを巡らすことにかなりの時間を費やしている。立ち上げ当時の方針をほとんど変えずにここまで何百本も書いているのだから、我ながら大したものじゃないか。

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そんな自画自賛はさておき、自分の書くものなんて高校生ぐらいの頃からあまり変わらないのだから、こうやって外的要因の影響を排除した環境で書いている限り、死ぬまで同じような調子で言葉を連ね続けるだけなのだろう。なぜこんなことをやっているのかといえば、死ぬ前にネット上に自分アーカイブみたいなものを残しておきたいから。生きてきた上での体験やら考えやらを形にしておきたかった。明日なのか50年後なのか、自分がいつ死ぬのかはまったく知らないけれど、こうやって文字として残しておかない限り、死んで火葬場で焼かれれば脳と一緒に真っ白な灰となって消滅するのである。当ブログに書き散らかしている記事が、後世に残す価値があるものだなんて考えているわけではない。読む価値があるのかどうか、自分自身には判断のしようもなく、それぞれの読み手が決めること。何度も繰り返している話だけど、記事を上げた何年も後に、知らない誰かがネット検索で引っかかった文章を一読して、「ふーん」とでも思ってもらえれば、自分としては大成功である。今自分の脳内にある色々なことが、誰の目にも触れずにやがて灰になってしまうのもしゃくだから、デジタルの世界に残しておきたい、とそれだけのことである。

自分の書く文章に一番よく出てくる単語が「自分」であることは自覚しているのだけど、自分大好きなのか。そもそも自分とは何なのだろう。自分自分と書いてはいるが、100%何もかもさらけ出しているわけではなくて、この「自分」もインターネットで公の目に触れていいようにこしらえたペルソナみたいなもの。実生活における自分とは違う。ネット上の自分と実生活での自分、どちらが本当なのか、と考えると、本当の自分なんてどこにもないような気がしてくる。少なくともネット上でこしらえた「自分」は、自分にとって都合の良い、公に見せたい姿を反映しているのだから、居心地がいいことは確かだ。この自分に会いたくてブログを続けているようなものだ。実生活での自分は、周囲の環境によってころころ変わる。情けないことだけど、この年になっていまだに、確固たる自分とは何なのか見いだせていない。自分の真実の姿があるとしたら、空っぽのノーホエア・マンというのがやはり一番しっくり来るような。


逆に、子供の頃から全然変わらない、どうにも変えられない欠点に直面させられることもよくある。そんなときは、こんな自分は本当に嫌だ、と心底うんざりしてしまう。真実の自分って、もしかしてこれなんだろうかと。この私という人間は、生まれたときから自分という牢獄に閉じ込められていて、この檻の外には絶対に抜け出せない、という絶望的な気持ちに襲われるのだ。そんな狭くて薄暗い檻の中に閉じ込められて身動きが取れない気分に落ち込むと、もうこれはどうあがいても死ぬまで同じなんだと、一刻も早く現世での暮らしを終えて来世に行きたくなる。自分が着ている囚人服の縞々とか、無表情に冷たい鉄の格子とか、そんなものをまじまじと凝視しながら生きるのだけは、絶対に御免である。だから、そんな檻の中の自分から遠く離れた美しいものが見たいし、当ブログではその美しさについてうまく書ければいいな、といつも思っている。
New slang when you notice the stripes

でももう50歳なんだし、いつ死ぬかわからないんだし、そんな自分もいいかげん受け入れてやろうぜ、と少しずつは思えるようになってきた。15年ぐらい前に、自分の欠点をあれこれ書き出して、こういう風に改善したい、みたいな個人的メモを書いたことがあって、それを最近になって読み返したら、今もまったく何一つ変わっていなかった。50歳になってもあまりに変わらないので本当にバカバカしくなってしまって、そのメモ全体を「にゃーん」という一言で上書きしてから、ゴミ箱に捨ててしまった。何だかそれでだいぶ気が軽くなったものだ。ここまで連綿と生きてきた中で抱え続けてきた欠点、自分の至らない点、もう全部とりあえず、にゃーん、で片付けていいんじゃないか、と思えた。今も完全には、いや、ほとんど吹っ切れてはいないけど、あのときのふっと軽くなった感覚は忘れないようにしたい。きっと本当は、にゃーん、でいいんだ。にゃーん。

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