ポール80歳のお誕生日に「Pipes Of Peace」を聴く

1942年6月18日生まれのポールは、今日が80歳のお誕生日。おめでとうございます!80歳のポールは、北米ツアーを無事に終えたばかりとのことで、コロナ禍を乗り越えてまだまだ現役のパフォーマーをやっているのは本当に喜ばしい。自分がビートルズの音楽が好きだと明確に認識したのは10歳の頃で、ちょうど今から40年前。つまりポールはそのとき40歳だった。80歳のちょうど半分。長い時間が経ったものだ。その、80歳の半分だった頃のポールって何やってんたんだっけ、と考えてみると、1982年は「Tug Of War」がリリースされた年。大好きなアルバムだけど、制作から発表まで時間がかかったらしく、実質的には80~81年の制作。40歳になったポールが作っていたのは、その次作の「Pipes Of Peace」である。


自分は発表から数年遅れの中学生の頃に、近所の図書館でレコードを借りてきて聴いたのが最初。ポールの最高傑作とはとても思えないけど、これも個人的に結構思い入れがあるアルバム。80年代に入ってジョンがこの世を去り、ウィングスも消滅した後にビートルズを認識した自分にとっては、初めて同時代で接して気に入った元ビートルの近作だったのである。

収録曲中、マイケル・ジャクソンとの共演ヒット曲「Say Say Say」が突出して目立つのは言わずもがなだけど、今聴き直すとポールのファルセットが光る「So Bad」が本作ナンバーワンの名曲だと思う。ほかの曲も地味ながら粒ぞろい。昔も今も、自分の一番のお気に入りは「Sweetest Little Show」なのだ。

中学生の頃からギターに興味を持ち始めていて、こういうアコースティックギターのローコードがじゃんじゃん鳴っている曲が一番楽しいのである。間奏のところ、ポールお得意のフィンガーピッキングで奏でられるワルツのハーモニーも可愛い。高校生時代、近所の商店街の古物屋で安く買った初めてのフォークギターで、ここをコピーしようと頑張った記憶がある。弦を2本だけ押さえて3弦解放を絡める、「Blackbird」から続くポール定番の奏法。今でも、この曲に合わせてギターを弾くのはとても楽しい。難しいことは何もない。Am、G、C、D、Emと簡単なコードをいくつか覚えて、好きな曲に合わせてジャカジャカとかき鳴らす。どんな難しいフレーズを弾きこなすことよりも、これこそが至福。

「Sweetest Little Show」とクロスフェードでつながる「Average Person」もいい。こういう「大したことない曲」が充実しているアルバムは、間違いない。大したことはないけどちょっと素敵な小曲、というのがポールにはたくさんあって、自分の一番好きなポールはそこにいるような気がする。ビッグな名曲てんこ盛りのワールドツアーで演奏されることなど絶対になさそうな、ポールのスウィートでリトルな曲の数々は、これからもずっと自分の中核に居座るのだろう。

【Setlist掲載】ポール・マッカートニー、全米ツアー開始。ジョンとのヴァーチャルデュエット等披露(udiscovermusic.jp、5月1日)

コロナ禍を経て初の北米ツアーを完遂したポール、この調子でワールドツアーも敢行して、日本にも寄ってくれたりすることを淡めに期待している。こういう機会に振り返ってみると、自分もずいぶん長いことポールと同時代を生きてきたんだなあと、ちょっと驚く。40歳のポールが「Pipes Of Peace」を作っていた頃、自分は10歳。20年後の2002年は、60歳のポールが3回目の来日を果たし、30歳の自分は初めてポールのライブを生で体験した。さらに20年経って2022年、80歳のポールに会える機会がもし再び訪れるのなら、50歳になった自分は必ず行くし、ライブの終わりには「See you next time!」とまた叫びたい。前回2018年公演を一緒に観に行き、ポールから2か月遅れで80歳になる父も、また連れて行ければ言うことはない。近いうちにそんなネクストタイムが本当に来るといいなあ。ポールも父も、80歳を過ぎてもまだまだずっと元気でありますように。


タイトルとURLをコピーしました