PUSAの1stアルバム25周年記念アナログLPに募金した

PUSAのクラウドファンディングに募金したのである。募金といってもチャリティの話ではないし、PUSAは非営利団体名ではなく90年代半ばから活動しているシアトル出身のバンドである。正しくは「The Presidents of the United States of America」、長すぎるわい、ということでPUSAと略されたり、日本語だったらプレジデンツUSAとかアメリカ大統領とか呼ばれたりしていた。昨晩、この大統領から久々のメールが突然届いた。メーリングリストに登録していたのである。何がきっかけで登録されたのかちょっと思い出せないほど昔のことだ。以前はバンド名にちなんで、実際のアメリカ大統領選が行われる年に合わせてニューアルバムを出したりしていたが、それも最近はご無沙汰だった。折しも今年は、あの大統領が再選されてさらに4年の任期を獲得してしまうのか、世界が固唾をのんで注目する年。だが、PUSAのメールはニューアルバムの話ではなかった。1995年に出た彼らのデビューアルバムが発売25周年となり、記念のアナログレコードを出すにあたって、Kickstarterというクラウドファンディングサイトに募金してほしいというメールだった。

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ただレコードを出すから買ってくれ、というのではなく、ファンの皆でお金を出し合って目標額を達成し、レコード化プロジェクトを実現したいから協力してほしい、というわけである。思わず協力したくなるではないか。うまいことを考えたものだ。PUSAの1stアルバムは自分が90年代に出会った数あるロックアルバムの中でもベスト10に入るほど聴きまくった。来日公演にも行った。グリーンのカラーレコード、ぜひとも手に入れたい。サイトを見てみると、レコード本体が25ドル、さらに日本への送料が20ドル。レコード1枚買うのに5000円近く募金することになる。しばらく時間をかけて考えた。いや、募金するかどうか迷ったのではなく、Tシャツとレコードのセットにするか、レコード単体にするかで迷ったのである。アルバムジャケをイラスト化したデザインのシャツ、色はやはりグリーン。まったく悪くない。でも熟慮の末、シャツは自重してレコードだけにした。募金したとき、まだクラウドファンディングは始まったばかりで、募金総額は目標の2割ほど。今でもこのバンドのことを覚えてるファンってどれぐらいいるんだろう、達成できるといいけど、と思いながらサイトを閉じた。

PUSAとの出会いの瞬間は今でもよく覚えている。その1stアルバムが出た95年のある晩に、自分はバンドの練習に行くために車のハンドルを握って国道20号、甲州街道を走っていた。よく渋滞する下高井戸のあたりに差し掛かったとき、カーラジオから流れてきた知らないバンドのシンプルなアップテンポの曲に、自分は完全にガツーンとやられてしまったのだ。こういう衝撃の出会いのシーンをいくつか大切に覚えていて、この瞬間のことも一生忘れることはないだろう。


あのときカーラジオから飛び出した「Lump」は、もちろんそのデビューアルバムに入っている。いま聴いても最高に格好いいし、ほかの曲も大好き。2弦ベースに3弦ギター、ドラムを加えたトリオで弦が合計5本だけ、というミニマルさを売りにしていたバンドだった。ヴォーカル・2弦ベースのクリス・バルーのヘアスタイルもミニマルで、コミカルな味のある90年代パンクバンドという佇まいだったが、本当はものすごく音楽的な実力が高いのにあえてシンプルなロックをやっている、初期のポリスみたいな連中だと思っている。来日公演に行ったら、当時はまだ聴いたことがなかった「ラジオスターの悲劇」のカバーをやっていて、会場で音を浴びながら、サビのコーラスでとても幸せな高揚感に満たされたのもよく覚えている。本当にいいバンドなのだ。

そして今、件のクラウドファンディングサイトを再びのぞいてみたら、一夜にして募金額はとっくに目標をぶっちぎっており、日本円で1000万円を突破。さすがPUSA、目標達成できるのか心配するまでもなかった。やはり自分のように彼らのことを一生忘れないファンは今でも世界に相当数いるのだ。クラウドファンディング大成功で、そのうち自分のもとにもグリーンのレコードが届くことになるだろう。

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