Gerry Marsden

ジェリー&ザ・ペースメイカーズのジェリー・マースデンが亡くなった。当ブログのビートルズ記事をわざわざ読んでくださるような方には説明不要だろう。初期ビートルズと同時期にリバプールで活躍し、キャバーン・クラブやハンブルグで同じようなレパートリーを演奏し、良きライバル同士だったバンド。ビートルズに続いてブライアン・エプスタインのマネージメント、ジョージ・マーティンのプロデュースという体制でデビューし、初シングルはビートルズが蹴った「How Do You Do It?」。気乗りしないけど仕事だからやりましたという感じが音に出ているビートルズ版に比べて、ジェリー&ザ・ペースメイカーズは曲に明るい活気を吹き込んでいて、マージービートの良さ全開。これを蹴って「Please Please Me」を出してきたビートルズはもちろん凄いが、この「お下がり」曲をきっちり全英ナンバー1ヒットに仕上げたジェリー&ザ・ペースメイカーズも決して引けを取らない。


世界的に見てこのバンドの一番有名な曲は「You’ll Never Walk Alone」だろうけど、やはり自分にとっては「マージー河のフェリーボート」、これに尽きる。自分の心のふるさと(行ったことないけど)リバプールのご当地ソング。夕日に照らされるゆったりとしたマージー河の流れがありありと想像できるこの曲、しみじみと美しく、憧れをかき立てられる。いつか必ずリバプールに行って、マージー河を眺めながらたそがれてみたい。

個人的に一番強く記憶に残っているジェリー・マースデンの姿は、1982年制作のビートルズ伝記ドキュメンタリー「コンプリート・ビートルズ」に出演したときのもの。当時のリバプールのシーンを振り返り、「ジャンバラヤ」をギター弾き語りで披露している。とても格好いい。(動画の7分10秒あたりから)

80年代にVHSビデオで出ていた「コンプリート・ビートルズ」、高校生時代にレンタル屋で借りたのをダビングして、何度繰り返し観たことか。アンソロジーが登場するまではこれが定番のビートルズ伝記映像だった(と思う)。元はカントリーソングの「ジャンバラヤ」をチャック・ベリー風のリフに乗せてロックンロールにアレンジするという、当時の英国バンドが盛んにやっていたスタイルを実演するジェリー・マースデン。古いスキッフル調の音楽を「アキ・ダキ」(Okey dokeyか?)と呼んでいて、この言葉がとても印象的である。ビートルズと同じ釜の飯を食ったミュージシャンの貴重な証言。

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こんな記事を書いているけど、彼らのオリジナルアルバムは聴いたことがなくて、「Where Have You Been All My Life?」をレコーディングしていたことも訃報記事で初めて知った。デビュー前のビートルズも演奏していたアーサー・アレキサンダーの曲で(ほかに「Anna」「Soldier Of Love」も)、とても好きなのだ。ジェリー&ザ・ペースメイカーズとビートルズ、どちらが先に取り上げたのかは知らないけど、アレンジは両者ともほとんど同じ。ビートルズ版は音質の悪いハンブルグライブしか残っておらず、ずっと残念に思っていたので、ジェリー・マースデンの歌で正式にレコーディングされたものが聴けるのはとても嬉しい。


どの曲を聴いても歌がとても上手いし、人柄の良さがにじみ出た本当にいい声だなあと思う。彼の写真はいつも温かい笑顔。ポールの追悼コメントにも「I’ll always remember you with a smile.」とある。ジェリー&ザ・ペースメイカーズ、ビートルズ、そしてロイ・オービソンが一緒にいる写真を眺めていると、美しいなと思う。この美しい世界の登場人物が、一人また一人とこの世を去って行く寂しさ。安らかに、ジェリー・マースデン。

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