ロイ・オービソンとトラヴェリング・ウィルベリーズの奇跡(もしくは必然)

トラヴェリング・ウィルベリーズの一員、レフティ・ウィルベリーとして「再デビュー」を果たした直後の1988年12月に亡くなってしまった、ロイ・オービソン。翌年に出た「Mystery Girl」が遺作になった。もちろん自分はリアルタイムで聴いた。とにかく大好きな1曲目は、言わずと知れたジェフ・リンの作曲・プロデュースによる「You Got It」。


ウィルベリーズは各メンバーのソロ作にも派生して名曲をたくさん残したけど、自分にとってはこれがピカイチ。素晴らしいとしか言いようのない、本当にそれ以外に言葉が思いつかない名曲。ウィルベリーズ仲間のトム・ペティも参加して、ビルボード9位まで上がるヒットになった。ロイ・オービソンにとって25年ぶりのトップ10ヒットだったという。

4曲目の「A Love So Beautiful」もジェフ・リンが手がけたもの。この曲の美しさは、ジェフ・リンの音楽を聴き込んだ今こそ、深く理解できるようになった。まさにどこを切っても100%ジェフ・リンという出来で、ジェフ・リン本人がオービソン風に歌って「Alone In The Universe」に収録されていても全然違和感がなさそうだけど、やはり「本物」の凄みは別格。これに並ぶことは誰にもできない。こちらにはもう一人のウィルベリーズ仲間がアコースティックギターで参加。そちらのバンドではネルソン・ウィルベリーと名乗っていた男、すなわちジョージその人。

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こないだは、ロイ・オービソンが1963年に出したオリジナルアルバム「In Dreams」を、Spotifyで初めて聴いた。ベスト盤で知っていた曲以外では、ラストに入っている「My Prayer」が素晴らしかった。


楽曲自体のオリジナルは1926年にさかのぼるものだそうだけど、こうやってロイ・オービソンが歌うバージョンで聴くと、ジェフ・リン~ELOの音楽とのつながりが明確に浮かんでくる。ディミニッシュや4度マイナーを多用するコード進行を、ストリングスと力強いベースラインで響かせるやり方が、まさにそれ。戦前から続くポピュラー音楽の流れからジェフ・リンの音楽の骨格が形成される過程で、ロイ・オービソンが果たした役割はかなり大きかったんじゃないだろうか。ジェフ・リンはロイ・オービソンが亡くなる直前にとびきりの名曲を捧げて、25年越しにその恩返しをしたといえる。そして、ジェフ・リンとジョージは、前述のディミニッシュのようなコードの使い方がとてもよく似ているのだけど、やはり二人とも元々同じ音楽が好きで、同じところを見ていたということなのだろう。ロイ・ジョージ・ジェフの3人がウィルベリーズで出会い、ごく短い間ながら一緒に音楽を作ったという事実は、まるで美しすぎる奇跡のようでもあるし、必然でもあったのだと思う。

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