ローガンかヤングか、どちらかだ:Spotifyとニール・ヤング

Spotifyの利用をやめるという記事を昨年末に当ブログに載せてから、もうすぐ一ヶ月になる。もちろんこっそり使用再開したりしていないし、後悔もまったくしていない。昨日は、ニール・ヤングがSpotifyへの抗議として、自身の楽曲を取り下げようとしているというニュース記事を見た。軍事投資の件ではなく、コロナワクチンに関すること。

ニール・ヤング、ワクチンに関するフェイク情報をめぐり、Spotifyからの楽曲削除を要求する公開書簡を発表(amass)
ロックの大御所ニール・ヤング、Spotifyに自身の楽曲の削除を要求。ワクチン誤報ポッドキャストに立腹(エンガジェット日本版)(現在リンク切れ)

Spotifyは2020年5月から、ジョー・ローガンという米国の人気コメディアンによるポッドキャストを独占配信する推定1億ドルの契約を結んでいて、このローガン氏がワクチンに関する偽情報を広めているという。ニール・ヤングの主張は、ローガン氏の偽情報をSpotifyで流し続けるのなら、自分の音楽はSpotifyから削除してほしいというもの。ローガンかヤングか、Spotifyに存在していいのはどちらか一方であり、両方はない、という。

ワクチンがどうしても体質に合わず、接種後にひどく体調を崩してしまう人たちもたくさんいる。自分の息子も接種後に発熱して2回とも2~3日は学校を休んだ。やむを得ない事情があって接種しない人たちを差別するようなことは、絶対にあってはならない。世界の大勢が一つの方向に流れる中で、その流れに疑問を持って抗議を表明する権利も決して否定されてはならない。それを踏まえた上でも、自分はニール・ヤングや、グラハム・ナッシュ、ブライアン・メイといった人たちが言うことに現状では同意する。今回のニール・ヤングの主張にも賛同する。エリック・クラプトンは、アンチの声を上げる対象を間違えていると思う。

ニール・ヤングは元々、Spotifyなどによる音楽配信には音質に問題があるとして抵抗していて、自身の納得する方法でのネット配信を模索していた。自分が有料会員としてSpotifyを使い始めた直後には、ニール・ヤングの作品はまだほとんど上がっていなかったけど、間もなくどばっと入ってきた。もちろん利用者としては有り難く嬉しいことだったけど、結局さすがのニールも流れに抗せず「軍門に降って」しまったのか、と少し申し訳ないような、複雑な気持ちになったのを覚えている。ニュースになった公開書簡は、今はニール・ヤングの公式サイトからは削除されているという。自分も一応読んでみようとしたけど見つからなかった。巨大な音楽業界の複雑なしがらみの中で、ニール・ヤングといえどもどこまで主張を通せるのかはわからない。それでも、自身の影響力を積極的に行使してあくまで筋を通そうとする姿勢には、いつも心強いものを感じる。ローガンかヤングか、どちらかの音源が本当に削除されたら自分は喝采を送りたい。

音楽家が身を削って創造する作品の価値を軽んじるような発言をSpotifyのCEOがしたこと、ストリーミングによってアーティストが得られる収入がごくわずかであること、さまざまなことが引っかかりながらも、こんな便利なものが大っぴらに提供されている以上は利用しない手はない、という気持ちで、昨年末まで何年か有料配信を利用してきた。でも、あの軍事企業への投資について知ってしまった以上は、自分にとってはもう無理だった。現代社会に生きている以上、戦争に関わるものすべてにお金を払わずに生きていくことが不可能であることは重々承知だ。でもSpotifyは税金や公共料金、生活必需品とは違って、お金を支払うか否かは自分の意思で決められる範囲内。大好きな音楽に関わるサービスでありながら、自分が反対したい勢力との関係があまりにもあからさまだった。自分の心を少しずつ削りながら利用し続ける価値はなかった。


ニール・ヤングとクレイジー・ホースの新作「Barn」。昨年12月に、出たというニュースを見て、仕事をしながらSpotifyで1~2回流して、ほお、いいねえ相変わらず、と思っただけで今のところはしっかりと聴いていない。同時代を生きて、コンスタントに新作を出してくれているというのに、あんまりな接し方だと思う。これは配信のせいというより自分の姿勢の問題だけど、つくづくもったいない。CDを買ってちゃんと聴こう。制作過程を記録した1時間以上にわたるドキュメンタリーも公開されていて、これも観るつもり。

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