Teenage Fanclub「Warm Embrace」

ティーンエイジ・ファンクラブの新作「Endless Arcade」の全貌を初めて聴いたとき、先行公開されていなかった7曲の中で一番、これは!と驚かされたのが、3曲目に収録されているノーマンの「Warm Embrace」だった。この曲、大好き。

明らかに60年代っぽい曲調で、以前のTFCではあまり使われてこなかった引き出しを開けてきた感じがした。何だかTFCというよりも、ノーマンがジョー・パーニスと組んだ別ユニット、ザ・ニュー・メンディカンツに近い印象を受けたのだ。わかりやすいのは「Cruel Annette」である。


この曲はビートルズの「All My Loving」的でもあるけど、イントロや曲間のリフはカウント・ファイブの「Psychotic Reaction」からの引用。自分はサイケやガレージの方面に詳しくないけど、この曲はその筋の有名コンピレーション「Nuggets」に収録されているので、昔から知っていた。

エイロスのオルガンが前面に出た「Warm Embrace」も、この辺の匂いがぷんぷんしてくる。ノーマンの、いやTFCの根底にこういう音楽が流れているのは、長年付き合ってきたファンなら知っていることだけど、TFCの曲としてここまではっきり前面に出してきたことは今までなかった気がする。ジェリーが抜けてソングライターがノーマンとレイモンドの2人になり、レイモンドはあまり曲調の幅広さで攻めるタイプではないので、その分ノーマンが新加入のデイヴ、エイロスと一緒に頑張って音楽面でのバラエティを広げてきた、と見ることもできるかもしれない。そうだとしたら大歓迎。年齢とともに熟成と奥行きを深めていくレイモンドはやはり完全にジョージ型だと思うけど、蛇口をひねればいつでもカラフルな音楽が流れ出てくる(ように思える)ノーマンは、ポール的。これからのTFCでは、もっとノーマンの多彩な面が聴けるようになることを期待している。

TFCの背景にはどんな音楽があるのか。「僕らが聴いているもの」というタイトルで、TFCのメンバー自身が選曲したというプレイリストがSpotifyで公開されている。日付を見ると2018年前半なので、まだジェリーがいた頃のTFC。古くは1930年代のブルースから、60~70~80年代と横断しつつ2010年代まで網羅した幅広い選曲で、見聞の狭い自分にとっては未知の音楽がたくさんあってすごく勉強になるし、単純に聴いていてとても楽しめる。

曲の追加日が2018年4月、2月、1月と大きく3つに分かれていて、ほぼ20曲ずつ。これは、ノーマン、ジェリー、レイモンドがそれぞれ別々の日に選曲したんじゃないか、なんて推測してしまう。だとすると、どの日が誰の選曲だろう。何となく思うけど、プレイリストの1~20曲目、4月追加の選曲はノーマンじゃないかな。

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