ホワイトアルバム50周年盤のジャイルズ・マーティン・リミックス、良い(個人の感想)

ビートルズのホワイトアルバム50周年記念盤、Spotifyでも聴けるけど、ビートルズのニューリリースを配信で済ませる気にはやはりなれず、かといって20000円近くするスーパーデラックスエディションを買うのもやりすぎな気がして、3枚組デラックスエディションに落ち着いた。実は、去年のサージェント・ペッパーズ50周年記念盤はその20000円近くするスーパーデラックスエディションを買ったのだが、手元に届いてみるとどういうわけか、こんな大げさなものを自分が持っているべきではないという気持ちになってしまって、CDだけコピーしてすぐに売り払ってしまった。元々あまり好きではないのだ、サージェント・ペッパー。

そのサージェント・ペッパー50周年盤に、ジョージ・マーティンの息子、ジャイルズ・マーティンが手がけたリミックスが入っていて、それもあんまり気に入らなかった。たしかに、今まで目立たなかった音が前に出てきてよく聞こえるようにはなってたけど、それは決して音質が向上したからではなくて、単にボリューム上げただけ、コンプレッサーかけてどの音も平坦にしただけに感じられた。聴きやすくはなったのかもしれないけど、ビートルズらしい繊細さが犠牲になって、実体のないふわふわした音になり、失われたものもかなり多かろうと思ったのだ。全体にラジオっぽい音質というか。それで、本題のホワイトアルバムのリミックスもそれと同じ感触なんだけど、今回はこれがプラスの方向にはまったように思った。ホワイトアルバム、ビートルズが一番ゴリゴリの演奏をしていた作品で、それはそれは生々しくてものすごいのだが、潤いがなさすぎて聴いてて疲れるところはあった。それがこのリミックスでは気楽に聴ける感じになって、もっとロック的なラウドさが前面に出てきて、楽しかった。90年代末に出た、イエロー・サブマリン・ソングトラックのリミックスで「Hey Bulldog」が原曲を超える格好良さに仕上がっていたんだけど、ホワイトアルバムのリミックスもあんな感じで成功してるのが多い。後期ビートルズのハードロックな面を現代的な視点で構成し直すと、しなやかに格好良くなるんだなあ、きっと。

もちろん、曲によっては元の方が全然いいのもある。「Sexy Sadie」はオリジナルが完璧すぎだったと改めて。ジョージのギター、あの何ともいえないまろやかなトーンは、リバーブやエコーの絶妙なバランスで成り立っていたのだ。「Helter Skelter」も地獄の底から鳴り響くヘヴィメタルが普通のハードロックになった感じ。最後を締めるリンゴの「指にマメができちまった!」発言もおとなしめに抑えられている。あの60年代後期ならではのどろっとした異常さは全体に薄くなった。だから「Happiness Is A Warm Gun」なんてどうするんだろう、と思ったけどこれは意外と現代版リミックスでも雰囲気が損なわれてない。

やはり、現代的な音なんだな。ぱっと聴いて「映える」のがジャイルズ・マーティン・リミックス。ホワイトアルバムに関しては「これもあり」だと思った。ホワイトアルバムの全貌を初めて聴いたのは中学生の頃だったけど、自分には最初よくわからなかった。本当の良さがわかったのはバンド始めてからだった。このリミックスなら小学生が聴いてもビートルズかっこいいと思えるよ、たぶん。

3枚組、今日届いてジャイルズ・マーティン・リミックスだけひととおり聴いてこれを書いてるんだけど、第一印象で個人的に一番良かったのはジョージの「Long, Long, Long」。オリジナルではエコーがかかって遠くから聞こえるジョージの声が、リミックスではぐっと生っぽくなって近くに感じられる。結果、ビートルズというより解散後のジョージの感じになっていて、「All Things Must Pass」の世界がすでにこの曲でできてたんだなあ、と改めて認識させてくれた。……とりあえず今日はこのへんで。3枚組の3枚目、インド帰りのビートルズがインド修行中に書きためた曲を当時のジョージ宅で録音したイーシャー・デモは、間違いなく第一級全ジ連案件だと思うけど、今日はもうお腹いっぱい。また後日改めて。

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