The Beatles「Get Back (Rooftop Performance)」、どうやって聴く

ビートルズが1969年にアップル本社ビル屋上で現役最後のサプライズコンサートを開いてから、本日で53周年。先日、録音が現存するこのライブの演奏曲全10曲を初めて収録したアルバムがリリースされた。ジャイルズ・マーティンによって新たにミックスされ、音質も上々という。もちろん聴きたいのだが、Spotifyをやめて1か月、ここで初めてちょっとした不便に出くわした。今のところこの音源は、ネット配信でなければ聴けないのである。Spotify、Apple Musicなどの会員制音楽配信サービスに加えて、Youtube Musicという選択肢もあったので、そちらを利用してみた。初めて使ったけど、要はYoutubeプレイリストをSpotifyっぽいインターフェースで再生できるもののようだ。広告は出るけど、無料のYoutubeである以上は仕方がない。(Youtube Musicのプレイリスト


ここで素朴な疑問が湧いてくる。Spotifyはダメなのに、Youtubeはいいのか。Youtubeこそ、ありとあらゆる偽情報を拡散している総本山ではないのか。ネット上の問題はいつだってこんな感じだ。自分を含めた世界中の有象無象が、めいめい勝手なことをあらゆる言語で全世界に向けて発信できる場所がインターネットだ。悪質な有名ポッドキャスターと1億ドルの独占配信契約を結んで何でもしゃべらせ放題のSpotifyに対して、Youtubeはコロナ関連の誤情報を禁止し、大量に削除する対策を講じているらしいから相当ましだと思うしかないが、信用するにはあまりにも心許ない根拠である。まったく、ややこしい世の中になったものだ。このたび新作のCDが出ます、じゃあ買います、で全然良かったのに。こんなことを言っても始まらないけど、今のように無数の選択肢があってさまざまな要素が複雑に絡まり合っている世界では、お金を払う対象の選び方によくよく気をつけなければならないのだろう。気が付いたら、自分が一番お金を払いたくない勢力に毎月せっせと貢いでいた、ということになりかねないのだから。

そもそも、自分がSpotifyの有料プランを解約して利用自体もやめた理由は、ニール・ヤングが問題提起したワクチン偽情報のことではなかった。昨年末に知った、同社CEOがAI軍事企業に多額の投資をして、自らも取締役に就任するという一件が、自分にはどうしても受け入れられなかったからだった。ニール・ヤングが巨大な一石を投じ、盟友のジョニ・ミッチェルをはじめ同調するアーティストも続々現れ、Spotifyの株価は急落し、とここまで大きなうねりになっている以上、きっとこれからSpotifyで流す情報に関する方針は見直しが進んでいくのだろう。ニール・ヤングはやっぱり凄い、と改めて尊敬してしまうが、自分はどちらにしろSpotifyに戻るつもりは今後もない。使い勝手が良くて、かつては生活の一部にまでなっていたSpotifyだけど、昨年末の時点ですでにさよならすることを決めたのだから。ルーフトップ・コンサート完全版はきっと、そのうちCDかDVDが出るのだろう。そしたら真っ先に買う。

肝心のアルバムの感想を書いていなかった。53年を経てとうとう完全な形で聴けるようになったルーフトップでのビートルズの演奏は、やっぱり良いものだった。映画「Get Back」は69年1月のビートルズを日誌風に追ったもので、自分も夜な夜なちょこちょこと観ながら同じ月を過ごしたので、53年前のルーフトップに至るまでのビートルズの内幕を仮想体験できた1月といえる。年明けには手持ちの曲もわずかで、今後の計画も全然決まっていなかったビートルズ、月半ばにはジョージが一時脱退するピンチまであって散々だったのに、月末までによくここまでまとめたものだ。


自分にとって一番熱かったポイントは、「Dig A Pony」の演奏が始まる前にしばらく楽器のチューニングやフレーズ練習をしている模様がはっきり聴けるところ。ジョージがあの素晴らしいギターソロのフレーズを少し弾いていて、指使いを間違えないように直前までこうやって確認していたんだなあ、とわかったのが何だかとても良かった。「僕はリードギタリストだ。ほかのメンバーは間違えても、自分は絶対に間違えてはいけないんだ」という発言を思い出させるのである。

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