ビートルズのルーフトップ・コンサート、50周年

1969年の1月30日にロンドンのアップルビル屋上で行われたビートルズのサプライズ演奏、通称ルーフトップ・コンサート。ビートルズが4人で行った最後のライブから今日でちょうど50年。このライブ自体については今さら説明不要、自分の出る幕ではないので、ここでは全ジ連ギター弾き的視点でのみ書く。

映画「Let It Be」が廃盤になっている現在、一番見やすいルーフトップ・コンサートの映像は「アンソロジー」に収録されている一部だろう。持っているDVDセットは、昨年から突発的ビートルマニアと化した父に丸ごと貸していて手元にない。公式Youtubeでは「Don’t Let Me Down」の映像が見られる。


スタジオ版と違ってジョージのコーラスがハッキリと聞こえるのが全ジ連としてはうれしい。このライブでジョージがリードヴォーカルを取る曲はないのだが、ギターは絶好調。真冬のロンドンのビル屋上、「手がかじかんでコードが押さえられない」とぼやくジョンの横で冴えたフレーズを連発している。そのセリフが入っている「Dig A Pony」では、演奏中にジョンとふざける余裕まで見せている。このシーン、大好き。

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上:ギターを弾きながら何やらニヤリとし始め、ジョンの前にしゃがみ込んでいたずらを仕掛けるジョージ
下:ジョンも即座に応戦

レコードで音だけ聴いていた時分には、演奏の最中にこんなことやってたなんて夢にも思わなかった。このライブの2~3週間前にはポールと喧嘩して一時ビートルズを脱退していたジョージ、ここでは楽しそうに演奏していて何より。この曲の映像もちゃんとした画質で早く見たいものだ。

「Dig A Pony」のジョージのギターソロは凄いのである。曲調はブルースなのだが、ジョージは典型的なブルースフレーズを弾かない。普通のブルースギターの手癖に頼っていては絶対に思いつかない変態フレーズ……いや名フレーズの嵐なのだ。これを読んでいるギター弾きの皆さん、嘘だと思うならこのソロを完コピしてみてほしい。謎運指の連続で、一発でコピーするのは無理。再現にはかなり苦労すると思う。ジョージはほんとに不思議なギター弾き。ふらふら酔っ払ったような演奏だが、あの曲に似合う演奏はまさにこれしかない。ああ、「Baby’s In Black」のギターにも似通った雰囲気があることにいま気づいた。

「One After 909」のギターも本当にすばらしい。ここでは普通のブルースロックなフレーズを弾いているのだが、あの格好いい焦げ茶色のテレキャスから繰り出される乾いた音色が熱い。ギターソロはブレイクでの決めフレーズが完璧なタイミングだし、歌の合間に弾くオブリガードもドライブ感満点で乗りまくっている。この演奏でのジョージには、ギターの神(クラプトンではなく、本物?の)が付いていたのではないかと。この曲はデビュー前から演奏されている古いもので、「From Me To You」と同じ日に録音された没テイクが「アンソロジー」で発表されたが、あのときのジョージの演奏はお世辞にも名演とは言えない。ブートで聴ける別テイクでは「何だよあのソロは」とジョンに文句を言われる場面すらある。あれに比べるとまさに雲泥の差、ジョージの成長ぶりをまざまざと見せつける最高の演奏。

「One After 909」のエンディングでジョンとポールがちょこっと歌う「Danny Boy」という歌。自分はあれでしか知らなかったので、酔っ払いが肩を組んで歌うようなおちゃらけたものだと思っていたが、とあるジャズのアルバムで「Danny Boy」を本格的に取り上げた演奏を聴き、こんなに美しい曲だったのか、と深く胸を打たれた。そのアルバムは、自分にとって本当に大切な作品で、何かのついでに書くようなものではないので、いつか必ずここであらためて文章を書きたい。

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