The Beatles「There's A Place」

ビートルズの音楽、特に初期のものは自分にとっては「場所」なのかもしれない。今でも普通にたびたび聴いているけど、物理的に音楽を再生しなくても、自分はいつでもそこに行くことができる。その場所のことは、ひとつひとつの形状や構造、手触りを隅々まで細かく覚えている。その音楽が生み出されたのは自分の生まれ年より10年近く前のことだけど、そこには時間という概念がないので録音年代のことはまったく関係ない。そこで人間としての4人に会う、というのもちょっと違って、ただ自分と音楽だけが存在する場所。初期ビートルズの音楽に夢中になったことがある人たちにとって、あの作品群はいつか「卒業」して、たまに立ち返る「基本」という位置付けかもしれない。解散直前、ここにゲット・バックしようとしたビートルズ本人たちにとってもそうだっただろう。もちろん基本であり原点だけど、自分にとっては究極の目的でも終着点でもあり、その途中のすべてでもある。現代の耳で聴けば取るに足りない未熟で稚拙なものなどでは決してない。すべてが入っている。これから華麗なる加齢がさらに進んで脳細胞が脱落していっても、この場所だけは死ぬまで絶対に失いたくない。

初期ビートルズの歌詞も、よく言われるように単純なラブソングばかりではない。よく読めば何でも書いてある。「There’s A Place」がいい例だ。上記で自分が言ったことがすべて書いてあるのだ。デビューアルバムの最後から2曲目という一番地味な位置に入っているが、本当の宝物はこういうところにさりげなく置いてある。


ひとつの場所がある
気分が落ち込むとき
憂鬱なときは
その場所に行けばいい
そこは自分の心
時間という概念は消え去る
ひとりのときには

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