The Bird and The Bee「Polite Dance Song」

最近、イナラ・ジョージとグレッグ・カースティンのポップユニット、The Bird and The Beeの「Ray Guns Are Not Just The Future」というアルバムにSpotifyで出会って、ドはまりしてしまったことは何度かここに書いた。中毒性がすごいアルバム。彼らを知るきっかけになった「Ray Gun」(そのときの記事)がやはり一番好きな曲だけど、これと同じぐらい好きで何度も繰り返し聴いてしまうのが「Polite Dance Song」。礼儀正しいダンス曲。何がそんなにお行儀が良いのかというと、歌詞の言葉遣いである。「どうか手拍子をしていただけませんか」「失礼いたします 音楽が動いているのです、左から右へ」「申し訳ございません、冷静さを失ってしまって」といった具合。こんな風に礼儀正しくお近づきになった上で、お行儀悪くなりましょう、という内容なんだけど、敬語表現満載の歌詞は単純に面白い。もしご興味がございましたら、ぜひご一聴をお勧めいたします。


曲はサビの転調が格好良くて、半音スケールを駆け上がるコーラスが大変クセになる。この曲も「Ray Gun」同様にカウンターメロディがちらっと出てきて、「Would you please…」「Apologies…」と礼儀正しくたたみかけてくる。生のドラムとピアノが引っ張る曲だけど終盤はバーンとシンセが入って無闇に盛り上がる。ダンス教室らしき殺風景な場所で中高年がひとりずつ踊るという、よくわからない映像もけっこう好きである。この曲の謎めいたイメージに焦点を当てていて、終盤の展開も音楽の爆裂感をうまく表現している。あんまり曲に合わないように見えて、意外とマッチしている映像。終始無表情でビザールな感じの赤いベースを弾くイナラ・ジョージのキャラクター、良い。

折り目正しい歌詞に反してサウンドはかなりヘヴィー。ダンスソングというタイトルだが、テンポは遅い。ほとんどレッド・ツェッペリンの「When The Levee Breaks」みたいに重たいビートが一貫して支配する。調べてみると、ドラムを叩いているのはジョーイ・ワロンカーだった。どうりでめちゃくちゃ格好いい。グレッグ・カースティンはベックの2006年作「The Information」からアルバム制作に参加しているので、ジョーイ・ワロンカーの起用はベックつながりなのかな。ドラムのサウンドはわざと音を軽く歪ませていたり、タムタムの音をどーんと長く響かせたり、かなり独特の作り方をしていて耳を惹きつけられる。近年はドラムマシンでも生ドラムとなかなか聞き分けられないぐらい作り込めるようになっているようだけど、こればかりは生ドラムでないと出せないサウンド。グレッグ・カースティンがプロデュースしたポールの「Egypt Station」も、生楽器のサウンドが良い。ギター、ピアノ、ドラム、どんな風に響かせればロック的に一番格好いいのか知り尽くしている感じ。The Bird and The Beeはエレクトロポップという分類になるようだけど、ロックファンの自分がこんなにはまってしまうのは、50~70年代のポップスとロックを愛し、よく分かっている人が作った音楽だからなんだろう。何よりもやはりメロディとコード進行のツボの押さえ方がすばらしい。

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