The Magic Gang

新人アーティスト紹介でよくある「○○が好きな人は必聴!」みたいな宣伝文句。自分はまったく参考にしない。○○が好きならそちらのオリジナルを聴く。何度でも。自分が音楽を聴いて感じたいのは、年代の新しい古いは関係なく、音盤に封じ込められている録音当時の熱さである。誰も聴いたことのない新しい音を生み出しているという高揚感、それを世界に届けたいという熱気、爆発力。その点でオリジネイターは圧倒的に強い。たとえ粗かったり拙かったりしても、新しいものが生み出されるときの熱気は誰にもコピーできないオリジネイターだけのもの。

信頼できる筋から勧められて聴いてみたマジック・ギャング。彼らの紹介記事を読んでも、英米の色々なバンドが引き合いに出されたりしているが、自分が彼らの音楽を聴いて感じたのは、年代も英米ロックの系譜も関係なく、自分たちにとって熱い音楽をひたすら追求しているだけ、という熱気だった。2010年代後半のイギリスで我々はどんな音楽をやればいいのか、なんてことは全然考えてなさそうなところが気に入った。国も年代も超えて幅広く音楽を聴きまくった上で、一番熱い部分を何とか自分たちの音楽に取り入れたい、という勢いをひたすら感じる。たしかに、さまざまな先達を彷彿とさせる場面はたびたび出てくるけど、決して特定の誰かを彷彿とさせたまま終わったりはしない。彼らが影響を受けた音楽は年代も国籍も超えて咀嚼され、消化分解され、有機的に絡み合って再構成され、彼ら独特の形で吐き出される。ビートルズを引用するにしても、彼らは「Dig A Pony」のさりげないギターフレーズを滑り込ませてきたりする。自分がこないだ書いた記事で、ジョージの演奏がいかに素晴らしいか力説した曲である。彼らもあの曲に自分と同じことを感じているんじゃないか、と思ってしまう。何だかとても「わかる」気がするバンドなのである、マジック・ギャング。

この曲のエンディングがそれ

年代を問わず良い音楽を幅広く聞き分ける耳を持った音楽好きが集まり、一緒に演奏しているうちにどんどん自分たちが聴きたいようなクオリティの曲ができてきて、生み出される音楽に自分たちで凄いぞ!と内向きに盛り上がりながら、どんどん爆発力を高めていった、そんな風にマジック・ギャングの音楽の成り立ちを想像してしまう。いま現在の周囲や社会にあまり目を向けず、好きな音楽を何よりも自分たちの喜びのためにやっている。マジック・ギャングのデビューアルバムには、最初に書いたような、誰も聴いたことのない新しい音が生まれる高揚感が封じ込められているように感じる。音楽的な粗さだとか、いびつさとか、細かいことをいちいち気にして修正したりせず、それも込みで強引に耳に届けてしまうパワーが充満している。自分の愛する60年代英国ロックのオリジネイターたちもそんな風だった。自分の耳には刺さるのはそういう音楽。

彼らの音楽だけ聴いて上記のようなことを思いつつ、この記事を書くために彼らのインタビュー記事をざっと読んでみた。「音楽を聴くのは現実逃避」「人をどうしたいとかではなく、音楽は自己表現」。やはり、音から受けるイメージそのまま。

この曲のサビはちょっとウィーザーっぽく聞こえるけど、コード進行とメロディの絡みが独特。すごく綺麗なコーラスが入ったりする。

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