Weezer「Here Comes The Rain」

ウィーザーの新作「OK Human」、リリース日にSpotifyで聴いた。ぱっと見、レディオヘッドのパロディみたいなアルバムタイトル。いつものエレクトリックギターの代わりにオーケストラを従え、アコースティックな路線を目指した異色作だが、「OK Computer」の向こうを張ったテクノロジー否定作というよりは、コンピュータもいいけど人間もね、ぐらいの意味に受け取った。先行して公開されていた「All My Favorite Songs」の映像を見ても、そんな感じ。この曲が気に入っていたので、アルバムが出るのを楽しみにしていた。


ネットで誰とでもつながれる時代、ウィーザーみたいなテレビの向こうにいるロックスターとも、スマホでなら直接会うことができる。でも実際のところ、人間たちは皆スマホを眺めているだけ。だから、テレビの向こうとつながれたなんて幻想に過ぎないのだ……ということではなく、バーチャルな世界でも人と人がつながれたことは紛れもない真実、だけどスマホを見てるヒューマンのほうも大切にしようぜ、ということではないかと自分には受け取れた。この映像にはやたらと時代がかったOSのインターフェースが出てくるが、そう、かつてのWindows 95にはなぜか、デビューしたてのウィーザーが放ったヒット「Buddy Holly」のビデオが「標準で」内蔵されていたのだ。まだネットで何でもかんでも見つかるような時代ではなく、自分は偶然にPCのWindowsフォルダ内でその映像ファイルを発見して、どうしてここにウィーザーが!とかなりびっくりした。当時のパソコンの性能や容量は今と比べものにならず、解像度の低い小さな画面で映像が観られるだけだったが、自分だけがこの秘かに隠された宝物を発見した気持ちがして、とても嬉しくて何度も観た。そんなことも思い出す。

ウィーザーを初めて聴いたのはこの曲よりもう少し前、1994年リリースの「DGC Rarities Vol.1」という編集盤に入っていた「Jamie」で、あれから25年以上経ってしまったが、2021年の「OK Human」も素晴らしいアルバム。1回目に聴いたとき、「Here Comes The Rain」という曲名を見て、どんな曲なのか楽しみにしていた。コンピュータと来てヒューマンなのだから、このレインだってサンへのオマージュに違いないと思っていた。

やはりジョージは、いた。イントロのピアノはニッキー・ホプキンスみたいだし、後ろから聞こえてくるアコースティックギターにはかなりジョージを感じる。歌が始まればウィーザーらしい曲調だけど、全体にさりげなくジョージ感を漂わせていて、とてもいい。雨をネガティブに捉えるのでなく、「雨がやってきた 僕の悩みを雨がすべて洗い流してくれるだろう」と、雨の恵みに感謝する内容からして「Here Comes The Sun」と通じるものがあって、心を温かくしてくれる。この曲が入った「OK Human」、大切にしたいアルバムだと思って、配信で何度か聴いた後、遅れてリリースされる輸入盤CDを注文した。これが届くまで聴くのは楽しみに取っておこうと、今は配信でもかけないでいる。デジタル配信もいいけどレコードやCDもね、というのも最近よく思うことなのだ。自分はどちらも否定しない。

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