ウィーザーの新作カヴァーアルバム「Teal Album」を聴いた

とあるとても信頼できる筋からこのアルバムが良いとおすすめをいただいて、ウィーザーが出したばかりのカヴァーアルバム「Teal Album」を聴いてみた。サプライズでリリースされた作品とのことだが、もともと最新音楽情報にまったく疎いのは先日書いたとおり。曲目を見て、あまりのベタぶりにただごとでないものを感じた。とくに目につくのが80年代のヒットチャートを賑わせた曲。当時、自発的に聴こうとしなくても死ぬほど耳に入ってきた曲ばかり。a~haだの、マイケル・ジャクソンだの、TOTO、ティアーズ・フォー・フィアーズと、耳タコすぎる楽曲が並ぶ。彼らに影響を与えたレジェンドに対するオマージュとか、そういうものではどうもないような。もちろん信頼できる筋からのおすすめである、聴いてみたらやはりすごい。


ベタベタな楽曲をウィーザーなりに解釈、料理したものかといえば、そんなものでもなかった。原曲から大きく変わってないアレンジのものがほとんど。ではこれはリヴァースが同世代と古き良き思い出を共有すべく、懐かしのヒット曲を楽しく歌いまくったカラオケアルバムなんだろうか。違う、そんなもの自分は聴けない。本作で自分が一番気に入ったのが、a~ha「Take On Me」のカヴァー。リヴァースの歌い方は決して楽しそうではない。あの「ピンカートン」のリヴァースがちらちらと見え隠れする。あのキラキラ軽いシンセアレンジそのままだからこそ際立つ、痛みを含んだリヴァース節。何だろうなこれは。

ウィーザーがデビューしたのはニルヴァーナ崩壊直後の94年5月だった。96年の2作目「ピンカートン」に、当時の自分はもう心が流血するほどわしづかみにされたのだが、マット・シャープ脱退後の彼らには興味を失ってしまっていた。そんな「ピンカートン」当時のファンをリヴァースが意図的に狙い撃ちにしたのが前々作の「White Album」で、とくに先行公開された「Do You Wanna Get High?」は完全にあの路線。自分はウィーザーに再び注目することになった。まさに彼の思うつぼだったわけである。彼はただの激情泣き虫君ではなくて、もっとセルフコントロールが利くしたたかな人物。成長したのか元々そうだったのかはわからないけど、その気になればいつでも「ピンカートン」に立ち返ることができるリヴァースに以前と違った意味で好感を持った。グリーンアルバム以降の作品も、もう少しちゃんと聴いてみたら、リアルタイムでは見えなかった良さがわかるのかもしれない。「Howdy!」以降のTFCみたく。


2011年、ウィーザーがこれまた唐突にレディオヘッドの完コピカヴァーをYoutubeで公開して面食らったのも思い出した。当時はウィーザーが活動を続けていたこともよく知らず、唐突さが先に立って何じゃこれは?と思ったが、今となってはこれも素直に聴くことができる。リヴァースはほんとに歌が上手い。「Teal Album」も、とにかくリヴァースの歌を楽しんだ。ELOの「Mr. Blue Sky」が入っているのも、もちろんうれしい。ウィーザーの音楽からELOを直接感じることはなかったけど、やはり影響あるのかな。

それにしても、「ピンカートン」を激聴きしていた90年代にラジオでかかりまくっていたTLCの「No Scrubs」まで彼らがストレートにカヴァーすることになるとは、当時どうして想像できようか。長生きはするものだよ。まだ大して長くありませんが。

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