インド日記2008年2月:46年ぶりの記録的寒さ

ほぼ常夏のムンバイから帰国後は、一転して寒冷地に住んでいる。今年は暖冬だが今朝は久しぶりに本格的に冷え込み、氷点下9℃まで下がった。そんな日に、12年前に書いたこの日記を読むと、たかが8℃に下がったぐらいで寒い寒いとぼやいており、「寒さ」とは何なのかと考えてしまう。あの頃は身体がすっかりインド仕様になっていて、渡印後はじめて冬に一時帰国したときは、久々の冷えでトイレが異常に近くなり、都内を動き回っているときに入れるトイレがなかなか見つからなくて非常に困ったことも思い出す。人間は、さまざまな環境にその場その場で適応しながら生きているのだな、と思った。慣れてしまえば大抵のことは適応できるのだ。

短期間の駆け足一時帰国を終え、ムンバイに帰ってきて2週間余。一年半ぶりの日本について書きたいのは山々なのだが、どうにも筆が進まないというかキーが打てないというか、この停滞の一因は、寒さのせいかもしれない。

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一時帰国中、松本の浅間温泉にて

日本も雪が降ったりして大変寒かったのだが、ムンバイに帰ってきて、これで寒さから解放される、と思いきや、こちらも十分冷えるではないか。去年は長袖の必要性をまったく感じなかったムンバイの冬だが、今年は1962年以来、46年ぶりの記録的な寒さだそう。最低気温が例年なら18~20度ぐらいなのに、8度台まで下がった。通常はこんなに冷えないので家に暖房設備などまったくない。真冬の日本、帰国早々ユニクロに直行して購入した長袖のタートルネックシャツがムンバイで大活躍中だ。まさかこんなことになろうとは。セーターを着込んだりスカーフを顔にぐるりと巻いたり、外で焚き火をして暖を取ったりしている人々を見て、この印度ムンバイで何を大袈裟な、冬気分を演出しちゃって、と少し前までは半分お笑い種にしていたのだが、とんでもない、北風吹きすさぶ週末は本気で焚き火したいぐらいの気持ちだった。

ムンバイでは寒暖のメリハリがなくて常に暑いことが不満だ、なんて普段は言っていても、いざ寒くなってみると気温が上がるのが待ち遠しい。もちろんすぐ後には、あの有無を言わさぬ暑さの夏が控えているのだが、人間とりあえず目先のことしか考えられないものだな。

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この日記から1年後の2009年2月、ムンバイで住んでいた部屋の窓から撮ったキングフィッシャー(カワセミ)。日本のカワセミとは身体の色や大きさがだいぶ違うけど、羽根の鮮やかな青はやはり一緒。当時からすでに、2月はカワセミの月。

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