訳詞:Van Halen「Jump」

この曲の歌詞について、ギルバート・オサリヴァンの「Alone Again」と同様、実は飛び降り自殺について歌ったものだ、という説をよく見かける気がする。自分もわりとそのように思い込んでいたのだけど、実際のところどんなことが書かれているのか自分の頭できちんと理解したくなり、例によって今さら定番曲の訳詞に取り組んでみた。


そうして歌詞をよく読んでみれば、特に裏の意味などはなさそうで、思いのほか前向きに聴き手を勇気づけるべく書かれたティーン・アンセムだったんだなあ、と感じた。何しろ、ダイヤモンド・デイヴことデイヴ・リー・ロスは、君の辛い気持ちは俺にもよく分かるよ、俺は君が今この曲を流しているレコードマシンの真ん前に立ってるんだ、と歌うのである。ぐったり疲れているときにこんな歌詞を聴いたら、思わず涙ぐんでしまうかもしれない。そこからいきなり、飛び降りろ!はさすがにないだろう。ただし、とにかく跳べ!やってみろ!と発破をかけてくれる反面、それでもダメでにっちもさっちもいかなくなったら、飛び降りてもいいんだぜ、というダブルミーニングもほのかに読み取れた。いいなあ。意外とぐっと来る、いい歌詞である。

俺は立ち上がる 何があってもへこたれやしない
しんどい目に遭ってるおまえ 世の中大変すぎることばっかりだよな
ベイビー、おまえの気持ちよく分かるぜ
パンチをかわしながら 本当の目的を果たすまで逃げられないんだろ

おい、俺がここに立ってるのが見えないか?
そのレコードマシンを背にしておまえに歌ってるんだぜ
俺はほかの連中ほど悪いやつじゃない
なあ、俺の言いたいこと分かるだろう?

そうさ、跳んじまえばいいんだ(ジャンプ!)
ジャンプしちまえよ
ぐずぐずしてないで跳ぶんだ(ジャンプ!)
やってやれ、ジャンプだ

あぁ?おい、おまえ!
そんなこと誰が言った?
ベイビー、今までどうしてたんだ
何があるか分からないとか言ってるけど
始めてみなきゃずっと分からないままだろうよ

だから俺がここに立ってるのが見えないか?
そのレコードマシンを背にしておまえに歌ってるんだぜ
俺はほかの連中ほど悪いやつじゃない
なあ、俺の言いたいこと分かるだろう?

そうさ、跳んじまえばいいんだ(ジャンプ!)
ジャンプしちまえよ
ぐずぐずしてないで跳ぶんだ(ジャンプ!)
やってやれ、ジャンプだ
跳べ!

(間奏)

そうさ、跳んじまえばいいんだ(ジャンプ!)
ジャンプしちまえよ
ぐずぐずしてないで跳ぶんだ(ジャンプ!)
やってやれ、ジャンプだ
跳べ!


アズテック・カメラによる名カバー。ロディ・フレイムの歌い方といい、後半に炸裂する壮絶なギターといい、このカバーからは「Jump」の裏の意味を強調する意図を感じる。

ザー・バード・アンド・ザ・ビーが2019年に出した、ヴァン・ヘイレンへのトリビュート作より。シンガーのイナラ・ジョージがデイヴ・リー・ロスの大ファンで、「Diamond Dave」というそのものズバリの曲も書いた。

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