Tom Petty & The Heartbreakers (with Dave Grohl)「You Don't Know How It Feels」

トム・ペティの大名作「Wildflowers」のアウトテイク集が近いうちにリリースされるらしく、「You Don’t Know How It Feels」のデモが先行公開されている。トム・ペティが一人で自宅録音したもののようだが、すばらしい。映像もいい。


さらに、別のことを調べているうちにたまたま行きついたのが、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズにドラマーとしてデイヴ・グロールが参加して、1994年11月にサタデー・ナイト・ライヴでこの曲を演奏している映像。自分は初めて見た。

曲が始まって、バンド全体をとらえた出だしの映像だけでもう、誰がドラムを叩いているのか一瞬でわかってしまうほどデイヴ・グロールである。ハイハットの位置が特徴的で、一発一発を大きく振りかぶって叩くのだ。観ていて何だかものすごく落ち着かない気持ちになった。自分は同じSNLで92年のニルヴァーナが「Smells Like Teen Spirit」と「Territorial Pissings」を演奏するシーンを何百回と繰り返し観ている。トム・ペティのよく知った曲の演奏なのに、ドラムを叩いているのは自分の脳内に焼き付いているニルヴァーナのSNL映像とまったく違わぬ様子のデイヴ・グロールなのである。どっちなんだ、これは。自分の中でとても混乱する。カートが亡くなった94年の終わり近く、デイヴはこんなことをやっていたのだ。今まで知らなかった。

フー・ファイターズのデビュー作が出るのはこの翌年の1995年だが、Wikipediaによれば、トム・ペティからSNL出演の誘いがあったのはアルバム録音中のことだったようだ。ニルヴァーナの終焉からフー・ファイターズがデビューするまでの狭間の時期にトム・ペティが関わっていたなんて、自分にはちょっと意外な事実だった。フー・ファイターズの1st、当初はごく地味な匿名プロジェクトとして100枚だけレコードをプレス、ほかにはカセットをやはり100本だけ作って周囲に手渡しで配っていたらしい。SNL出演の際にデイヴはハートブレイカーズにドラマーとして加入するように誘われていたというのだが、デイヴとしてはドラマーの席に座るとニルヴァーナのことを思い出してしまうので乗り気ではなかったようだ。トム・ペティも、デイヴがフー・ファイターズというソロプロジェクトを始めたと知ると、それならそっちを頑張ればいいとデイヴを励ましたとのこと。カートの死後、一時は鬱状態に陥って音楽からの引退を考えていたというデイヴが、不安定な時期に心の広いトム・ペティと関わりを持って励まされたことは、大きな喪失から前に進むための強力な後押しになったんじゃないかと想像する。

ちなみに、フー・ファイターズの1stといえば、この曲に触れなければならない。


ディミニッシュコードにスライドギターをフィーチャーして、タイトルは「Oh, George」。最初に聴いた瞬間から、「George」とはあのジョージのことに違いないと確信していたのだが、デイヴ自身がそれを認めている発言も探してみたら見つかった。やはり、ソロデビュー作にオマージュ曲を入れるほどのジョージファンだったのだ。2001年、ジョージの訃報を受けての発言で、全ジ連としては激しく同意できることばかり。

フー・ファイターズのデイヴがジョージ・ハリソンの死にコメント(BARKS)

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