日本酒を飲んでいる

新しい物件への入居は無事に決まった。これから春までは現住居の片付けと引っ越しに追われることになる。帰国してから6年半暮らしたこの土地ともお別れ。新天地に移ることは、長いこと揺れに揺れながらも慎重に決断したつもりだ。こんな時期に県境を越えた移動をして現地見学もした。しばらくは近所のラーメン屋にも行かれない。動くなら今このタイミングしかなくて、現地を見ずに引っ越すことなどできないから、県外移動は不要不急ではなく必要至急のことだった。親たちの状況、その他の状況と、あちらを立てればこちらが立たずのバランスを取りつつ、先が見えない中で悩みに悩んだ。どうにか、一番いい決断ができたと思う。気持ちはもう移動モードに切り替わっていて、決めたことに悔いはないけど、この土地を離れるのはどうしたって寂しい。山に囲まれたこの地域には若い頃からずっと憧れてきた。転居先を探しながら、こんなに自分好みに諸々のバランスの取れた美しい場所は滅多にないのだと改めて認識した。

この土地の美点の一つは、前にも書いたけど地酒が美味しいこと。自分がチューハイがぶ飲み生活から抜け出せたのは、この土地の美味しいお酒があったからこそ。新天地の地酒も買ってきて、家に帰って飲み比べた。蔵元ではなくスーパーで買ったお酒なので分が悪いことは十分承知しつつ、やはり水の違いを感じた。当地で酒造が盛んなのは、山々から流れ下ってくる良質な伏流水に恵まれた土地だからだという。米作りは当地でも新天地でも盛んなのだが、水に関してはここの澄み切った味わいには絶対にかなわないと思った。やっぱり山なのだ、自分は山が大好きだ。山から離れるのはつらい。いつかきっとまた山に帰ってくる。

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そんなわけで、当地にいられるあと一カ月半ほどは、日本酒をほぼ毎晩飲む生活になるだろう。お酒が日本一美味しい土地にいられるのは、あとわずかなのだ。一晩おきなんて、もったいない。気持ち的にもストレスがあって落ち着かないので、一日の務めを終えてそのまま布団に入って寝る気になれない。毎晩の量だけは過ごさないようにして、最後のお酒に慰めてもらって、憧れの土地との別れを惜しみたいのだ。


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